えいがうるふ

ドライブ・マイ・カーのえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

あまりの巷の高評価に本音を言えない人の代わりに私が声を大にして言いましょう。
3時間、無駄にしたーーー!!

一言でいえば良くも悪くも村上春樹。
どこまでも生活感のない日常生活描写、やたらドライで気取ったセックス描写、意識高く格調高く感情を交えない会話とモノローグ。
どうにも萌えない。感情移入できない。セリフを聴いてるこっちの心まで乾いていく。

佐々木マキ氏が表紙や挿絵を描いていた初期の作品はかなり好きだった村上春樹だが、ノルウェイの森以降ストンと興味を失いほとんど読んでいない。にもかかわらず相変わらずだなぁという印象が想像以上に強かった。

だからこそファンにはたまらないのかも知れない。未だ変わらずこのテイストを貫いているのかと思うと、作家にもついていくファンにもある種の敬意を覚えるが、個人的にはそこを当てこんだ世界観商法みたいなものを感じてしまった。
この過分にナルシスティックな心象描写も、そこに共感と需要があるからこそ生き残る作風なのだろう思うと、思い当たる老害ジジイの顔が何人も頭に浮んでますますウンザリしてしまう。

そんなこんなでダラダラ長い。尺が無粋。原作と同じくこれがもし余韻を残す短編として90分以内でサクッと終わっていたなら、私もこんなにダラダラと駄文を連ねることも無かっただろうに・・。

一応褒めどころも記しておこう。
作中、唯一興味深いと思えた登場人物はドライバーのみさき。絵に描いたような陰キャに説得力がある設定でとても好感が持てた。彼女を交えた韓国人夫婦との夕食シーンは特に、言葉に血が通っていて素晴らしかった。
そしてドライブ映像をはじめ景色の描写は文句なく美しい。つい先日広島を訪れる機会があったのだが、もしこの映画を先に見ていたらきっとあのゴミ処理場にも足を運んだだろう。気になる場所だ。

それにしても、濱口監督も自分の好みからは外れていると知っていたのに何故この長尺をおして見てしまったのか?
・・・だってホラ、怖いものみたさというか嫌いなもの見たさってあるでしょ?
もちろん、ひょっとしたらという一抹の期待も常にある。だからきっとまた懲りずに観て、また勝手にイライラしてここに駄文を記すに違いない。乞うご期待。

とりあえず今後この方の作品は棒読み俳優の最上位活用例として認識しようと思う。