たき

ドライブ・マイ・カーのたきのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.0
昨年の話題作ですな。早速配信されたようなので飛びつきました。
原作村上春樹なので、ちと嫌な予感はしていたのですが(あまり相性よくない)なんのなんの、テーマがドストライクで久々のスマッシュヒットでした。ありがとうございます。

しょっぱな、まず印象的なヤツメウナギのJKのおはなし。このメタファー加減が秀逸。
自分の心を押し隠し、代替行為にふけるJKは音。
山賀は、音がそうであろうと認識している現実の家福。
もうひとりの空き巣は、音がこうあってほしいと願う理想の家福。
そんなふうに感じました。
たぶんこれは、家福と音を入れ替えても成り立つロジックになってる。
これは、お互い自分と相手の気持ちを見て見ぬふりをすることによってまきおこるディスコミュニケーションのおはなしだとおもたので。

ひとは、ひとりでは生きていけないくせに、誰かといっしょにいても、往々にしてなかなか「ふたり」にはなれないのですな。
自分の気持ちを押し隠し、他人の気持ちなんてもとより知ろうとはしない。

ただ、ひとりぼっちのひとたちが、一緒にいるだけ。

そこには傷つきたくなかったり、傷つけたくなかったり、理由はあるんだろうけれど、結局そこから逃げたところで、さらなる苦しいことが待ってるだけだったりもして。

行くも地獄。帰るも地獄。

けど、自分をさらけ出すって、それがどんなものであれ、気持ちがいいもんだったりする。
罪悪感も、吐き出すことで誰かが断罪してくれるかもしれない。
ひとりでは抱えきれない気持ちも、誰かと一緒なら呑み込むことだってできるかもしれない。

劇中劇とのリンク具合が絶妙で、好きなやつでした。
ラストの伯父さんとソーニャのシーンはゆっくりじんわり泣かされちゃいました。

そのソーニャ役のイ・ユナがめちゃくちゃかわいい。これは惚れる。ユンス、かわれ。俺とかわれ。←やめなさい。
4人で食卓囲むシーンがめちゃくちゃ好き。

そのイ・ユナ役は一瞬ペ・ドゥナかとおもたら違いました。パク・ユリム。覚えました。

霧島れいかがエロい。でも胸糞。でもエロい。

マサキが。やはりマサキはこうでないと。久方ぶりにこんなマサキを観た。わかってらっしゃる。

こわかったのは、柚木さん? 棒なのも相まって、そのへんのホラーよりもこわかったです。なんかの伏線かなとおもたのに。なんだったんだろう。
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