ドライブ・マイ・カーの作品情報・感想・評価 - 332ページ目

「ドライブ・マイ・カー」に投稿された感想・評価

全ての流れが自然だった。人の感情の機微を描くということにおいて、この映画に勝るものはない。そんなことを思った。
May

Mayの感想・評価

4.4

このレビューはネタバレを含みます

繊細な言葉の応酬を肌で感じた。こんなに心地よい言葉の密度はあまり映像を通して感じたことはない。赤いサーブの中で流れる戯曲、ベッド上での対話、外国語、手話、死んだ者の言葉…作中であらゆる形で表出する言葉を、鑑賞者である私は必死に紡ごうとした。これは、今作の秀逸な演出によるものだと思う(冒頭、影でしか捉えられない音の姿などに強く感じた)。そして、作中の人物たちもしっかりとその言葉を噛み締めながらも何か振り回されている。
『ドライブ・マイ・カー』を観て、日常に潜む演出を考えた。自分の中に確実に存在している本性や過去の出来事は歳を重ねていく度に演出をかけて嘘をつくことがうまくなる。なにが本物なのかわからなくなる。でも、終盤にみさきの故郷を尋ねた時の家福の涙は本物だと思う。長い時間をかけたドライブ、とにかく前へ進み続けるドライブには、そんな純粋さを引きずり出す、本性に向き合わせる魅力があったのだと思った。
本当に素晴らしい映画でした。
ちぴ郎

ちぴ郎の感想・評価

4.0
めちゃくちゃ良かった………
ハッピーアワーと寝ても覚めてもが全く合わなかったので、濱口竜介は合わないんだなぁと思っていて、今作は話題だし見とくか〜でも合わないんだろうなぁと思ったけど、めちゃくちゃ良かった。。
なにがどこがかはうまく言えないんだけど、韓国人夫妻のあったかさ、世間的には終わってる役者の本音であろう言葉、ドライバーが話す母との思い出からの亡くなった妻への思い、ラストシーンまで、まぁた泣いちゃったよ。。
もう一回観たいな。

映画祭スタッフのおばちゃんが気味悪かった

2021.78
あかね

あかねの感想・評価

3.7
原作小説は未読だけど、村上春樹の雰囲気はすごく伝わってくる。劇中劇のセリフが登場人物の心情とリンクしており、車中の会話や録音された音声などの要素の使い方が秀逸だと思った。タバコを吸うシーンがよく出てくるが、そのタイミングが完璧。
ドライバー役の三浦透子さんの演技がとても良かった。
この映画に3時間は必要な長さだったのかもしれないけど、やっぱり観ていて長いなって思ってしまった…。
窓から瀬戸内海の見える部屋、良いなー。老後にああいうとこ住みたい。
ひみ

ひみの感想・評価

-
チェーホフの書いたセリフが現代の世界とクロスしていって面白い作品だった
何作品か引用されている気がするので思い当たる戯曲を読み返してもう一度観てみたい

ちゃんと傷つくこと
死ぬまで生きること
絶望から忍耐というテーマは今の世界に沁みる

自分の選択の連続が今の人生なのだけど
今も昔も、人はそのことを受け容れるのが時折困難になるのだろうな…と感じさせられました

このレビューはネタバレを含みます

濱口竜介の前作『寝ても覚めても』に強烈な印象をおぼえて、本作の情報をずっと追いながら楽しみにしてきた。
楽しみにしすぎてハードルが上がってしまって逆に楽しめないのではないかという不安が脳裏を掠めたが、終わってみれば杞憂中の杞憂だった。

今年一番の傑作、どころか少なくとも2020年代を代表するような一本だった。

長尺であることをまったく感じさせないのは、演出というにはあまりにどのカットも「自然に撮れてしまった」かのように肩の力が抜けていて、私たちは「観察」させられる。作者はただその傍らに立ち向かい合うのではなく、横並びに同じ方向を向いている。

「ロールを演じる」ということについての映画だ。そうして「演じていない自分」にいつか届くだろうかと願う映画だ。
私たちは「自分」を直接見ることができない。思弁のなかに、映像のなかに、鏡のなかに、他人のなかに存在する「自分らしきもの」を自分であると信じて生きている。

信じるということが私たちにできる最善の行為だ。それは愛することとも繋がっている。
他人を信じること、他人のなかに像をむすぶ「自分」を信じること。
大丈夫だ、大丈夫だと優しく語りかけてくる終盤に、涙が止まらなかった。

どうしようもない人間賛歌だった。
スクリーンの向こうにたくさんの人が「生きて」いた。それをただ信じたくなった。
こう

こうの感想・評価

4.0
3時間の尺をどう考えるか。ラストの意味は?
家福とみさきが自然と(自発的に)話始めるのには必要な尺であったと思うし、実際長いと感じなかった。
岡田将生が久々のクズ男演じるのも良い。(こういう役が似合ってると個人的には思う。)
ラストはコロナ禍で生み出したファンタジーなのかと受け止めた。
Okabeee

Okabeeeの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

家福の妻のキャラクターと、その妻の浮気や死別までを長めのセットアップで丁寧に描くことで、妻がいたという残り香(カッセトテープから聴こえる声も含めて)を観客に携えさせてから、家福が妻の死を乗り越えていくストーリーが始まっていく。

その残り香を丁寧に観客側に醸成させたことによって、みさきが家福の車を運転している姿や、家福とみさきがゴミ処理場で自分たちの過去について話す時間、またワーニャ役を家福が行う一歩の踏み方の感情移入の鋭さが増しているような気がした。
ただ、高槻が捕まることは予想ついてしまっていたし、その捕まり方があっけなかったので、捕まるシーンでなぜか急に、家福に妻を思い出させる存在(浮気相手として)、また家福と車内で語ることでみさきと家福をどう紡ぐかだけのために利用されていたかのような儚さを感じてしまった。捕まり方、もしくは家福との別れ方にもう少し工夫があれば、その冷めた空気感を感じることはなかったような気がする。

また、演出面で言えば、多言語をこれだけ扱いながら構成していくのは並大抵の演出技術ではないだろうし、加えて演劇というメタ構造を扱っているので、さらに難易度の高いことを平然とこなしているように思った。演劇をここまで映画に落とし込める演出技術はなかなか見たことがない気がする。

(3時間尺は正直長く感じてしまったのはあるが、この感覚は近頃見ている映画の見方に偏っているように思い、文学的作品に近い捉え方で鑑賞した。)

にしても、セリフが豊かだったので全てを意図通りに解釈できたように思えない。
また時間を置いたら、違う見え方をするだろう。
みな

みなの感想・評価

4.3
感動した。
観ていて不思議な感覚にさせられたり、男女の交わりをキーに重要なことが起きたり、村上春樹作品らしさ満載だなと思ったが、かなり感動した。
傷跡は残っても、前に進んで生きていくことはできる。人と人が互いに傷を見せ合い、気持ちの落とし所を見出していく。車を走らせ旅に出ながら、自分の心と向き合っていく。素敵だった。
自分の好きな映画にマンチェスターバイザシーやウェイブスなどがあるが、ドライブマイカーも描かれていることが似ていたと思う。この映画はかなり好きだった。

役者たちがまるで舞台を演じているかのような語り口で、とても独特な雰囲気だった。文学的、という言葉が相応しいと思える作品だった。
mimi830

mimi830の感想・評価

3.5
サーブが懐かしくて、村上春樹原作と知りつつ見た(ちょっと苦手)。でも良かった。色んな事を考えさせてくれる映画。劇中のチェーホフが迫力があって、ストーリーを代弁するかのように、絡み合う。多様性な舞台は、とても刺激的だった。手話という言語を見直した気がする。話の筋とはそれたけど、終わり方も良かった。

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