ドライブ・マイ・カーに投稿された感想・評価 - 602ページ目

「ドライブ・マイ・カー」に投稿された感想・評価

雑記猫

雑記猫の感想・評価

4.0
主人公・家福が死別した妻への自身の本当の気持ちに気付くまでを描いた作品。その感情へとたどりつくまでの彼を取り巻く空気感の演出が豊かで、その豊かな作品の空気感に没入することで、家福の感情にじっくりと入り込むことができる。この抜群の空気感を生み出している二大要素が「ドライブ」と「演劇」。

 ふんだんに盛り込まれたドライブシーンが心に深く残る本作。本作におけるキャラクター同士の心のぶつかり合いがことごとく車内で行われているという点が、このドライブシーンに作品における重要な意味を与えている。車内という狭い密室で主人公の家福は、ドライバーのみさきや因縁のある若手俳優・高槻と濃密な言葉の応酬を交わし、魂を静かに、しかし激しくぶつけ合わせる。また、家福は1人で車を走らせる際には自身が出演・演出する演劇のセリフを暗唱することをルーティンとしているのだが、この車内でのセリフが要所要所での家福自身の心境を暗喩する内容になっており、ドライブの時間が家福が自身の心のうちを見つめる時間にもなっている。このように本作におけるドライブシーンは幾重にも作品内での意味が折り重ねられたシーンになっており、それが観るものにも映画鑑賞を通して長いドライブをしていたような感覚を与える。

 この作品のもう一つの柱は先に述べたように「演劇」だ。本作の3分の2近くの時間が、主人公の家福が広島の演劇祭で演出家としてチェーホフの「ワーニャ伯父さん」を作り上げていく過程に割かれており、物語の本筋はこの演劇パートが担っている。本作の面白い点はこの「ワーニャ伯父さん」の制作過程がオーディション→本読み→立ち稽古と非常に丹念に描かれている点である。この制作過程が非常にドキュメンタリーチックで、映画的には驚くほど静謐としていてドラマ的な起伏はないにも関わらず、それが逆に心地よい映画体験となっているから不思議だ。
osa

osaの感想・評価

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原作のいる場所よりも、もっと遠いところに連れていってくれる物語になっていた。と思った
KOKONE

KOKONEの感想・評価

4.2
心地いい映画だった🎞
3時間くらいあり、序盤はほぼBGMとかもなかったのに全然退屈せず、環境の音が素敵だった。
みさきのドライブが持つ心地良さに似た映画体験に感激。

落ち着いたシーンと衝撃を受けるようなシーンが交互にあり、全然間延びしてない。

内容を伝えることより見てる人に考えさせるように作られた脚本が素晴らしかった。難しいのに考えることを放棄させないで、どんどん惹き込ませてた。

観客に自己投影させる西島秀俊さんの演技や三浦透子さんの目の演技がとても良かった。
映画と演劇の演技の違いが面白い。

「正しく傷つく」この言葉の持つ重みがすごく心に残る映画。
かえで

かえでの感想・評価

3.8
僕には少し見るのが早すぎた映画だと思った。
もう少し大人になってもう一度見たい
後半の車内でタバコ吸うシーンが1番好き
けい

けいの感想・評価

4.0
映画のような小説?あ、小説を読んでるような映画。めちゃくちゃレビューが難しい。一部の人には傑作で、一部の人には駄作になりえる。

ここまで大人しい映画なのに、ちゃんと起伏を感じられたのがすごい。

個人的にはここまで静かで長時間の映画を寝ないで見れたのはスクリーンだったからだと思う。ただ、だからこそゆっくり時を感じた。

年齢を重ね、出会いや裏切りを経験すると色々としみる。
相手にちゃんと怒りたかったし、自分と向き合えてなかったし、相手とも向き合えていなかった。そういうことを思い出した。

すべてがセリフで、すべてが演技で、すべてが舞台で、すべてが旅。

なんかそういう話。
(2021年100本チャレンジその54)

初濱口作品。話が動き出すまでが長かった。脚本家と演出家の夫婦の設定だからというのもあるとは思うけど、冒頭のセリフのやり取りはあんまり好きじゃなかったな。日本語って、脚本にすると不自然になる…?

岡田将生の空っぽな役者ぶりが良かった。手話女優さんの透明感が素敵だった。運転手は、直前にナイト・オン・ザ・プラネットを観ていたから、ウィノナっぽいやさぐれ感があるなとふと思ったけど、もっと人生を楽しめてない人だったな。最後でようやく一歩踏み出せたということなんだろうけど。

ハルキストではないので、原作は読んでないのだが、原作も気になった。あと、ワーニャおじさんも。

観たけど、not my typeかな。もっとポジティブなオーラのある人が主人公の作品を観たい。

このレビューはネタバレを含みます

虚無。3時間この映画を観て最初に思いついた言葉。そして鑑賞後じっくりと作中のセリフとかを思い出し紡いでいくなかで、他者とは何か、他者との関わりの中で生きるとは何かを考えさせられた。自分が運転する車とか自分が発する言葉とかはある程度コントロールできるけど、他者という全くコントロールできない存在とどうやって上手く付き合っていくのか。どうやって受け止めていくのかなどなど。いまの自分では上手く言語化できないけど、この映画を観る人は車の中での会話や、舞台のやりとりに注目してみて。

あと、ドライブしたくなった。

このレビューはネタバレを含みます

非常に良かった。冒頭20分の音が亡くなるまでの場面でぐっと引き込まれて、そのまま映画を観ている状態を忘れて見てしまった。座席に座っていながら物語のなかへ3時間沈み込んだ気分。映画館の外に出た後も、しばらく街の見え方が変わってしまうような感覚になった。西島秀俊さんと三浦透子さんの抑制された演技、ずっと観ていたくなる。

それに、北海道の地滑りを起こした実家の跡で、雪の積もる丘で2人が「生きなきゃ」と抱き合う場面がとても良いし、「三人姉妹」の幕切れのようで、じーんとする。ゴドーとか文学作品の引用も多くて楽しい。
じっぽ

じっぽの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

何の前情報もなしに鑑賞。
著者の作品自体一切見たことない。
あっという間の179分。
ほとんどが会話で構成されてる作品でした。
ドライバーとの対話のシーンはジャームッシュのナイトオンザプラネットを思い出した。
車内でのコミュニケーションって特別なものになり得る。タクシーの運転手さんとの会話とか自分の経験を勝手に重ねてしまった。本作とは程遠い記憶だけど...

今まで大切にして来たもの、簡単に他人に運転させるのに嫌悪感を抱くのは非常に共感できる。でも思った以上の扱いをしてくれると段々と心が溶けて打ち解ける感覚も見覚えある。両手が離せない状態でも、自分で決めたルールを破ってでもタバコを咥えさせて火をつけてあげたくなる。

そうやって段々と本音が溢れる。自分を取り繕ってるものがきっと誰にでもある。話せる相手がいないのならそういった感情は誰にも見せなくてもいいかもしれない。車内でのルーティンを守る。そうやって自分でも過去とどう向き合いたいのかわからなくなる。

それでも生き抜く選択を。後悔と思うことも過ちと思うことも、生きている人は一生思い続ける。苦しかったことは最後に空で伝えるんだ、私は苦しみましたって。そしたらゆっくり休みましょう。


舞台のラストシーンを好きになりました。
色んな国の言葉が飛び交うなか、手話を言語と認識できたのは今作の最後のシーンのおかげです。ほんとうにあっという間に時間が過ぎました。ただ、そこまで長く生きてない自分には簡単に理解できない部分が多々ありました。分かる日が来ては欲しくないですが...

ちなみに禁煙して数年経ちますが久々にタバコを吸いたくなりました。。
車内でサンルーフに手を掛けながら吸ったら絶対美味い........
r

rの感想・評価

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素晴らしかった…母の命日が近いわたしにとって、個人的にめちゃくちゃ思うところが多い映画だった。わたしも母をころしました。

ドライブマイカーのマイカーは自分の人生で、ドライブはそれを生きて舵を切っていくことみたいなことなんだろうなあと みんなそれぞれの車を持っていて、それを運転している。
ハンドルは絶対に自分が握りたい、他人に握らせたくない、丁寧で注意深い家福さんの運転。危なっかしくて見ていられないような音さんの運転。人生も車の運転も事故っている高槻さん。すごく上手に運転するけれど、常に自分の車ではなくあくまでも他人のそれでドライブする運転手の女の子(最後は自分のものと思われる小さな車を運転していて、そのことがわたしまでとてもうれしかった)。

それぞれが車の運転の仕方を持ってて、どうにかこうにか日々を送っているんだなあと考えていた。

遺されたわたしも2人と同じく、生きていかなくちゃいけないんだね 現世でたくさん苦しんで泣いて、やっと死んだらあの世でそれらのことを懺悔して、そこでようやくほっと一息つかせてもらえる。今は頑張って生きなくちゃ

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