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浜の朝日の嘘つきどもとのtaominicocoのレビュー・感想・評価

浜の朝日の嘘つきどもと(2021年製作の映画)
5.0
故郷が舞台なのでエコ贔屓も入ってますが、今年観た作品の中で一番泣いて、一番笑いました。福島中央テレビの周年企画として制作されたドラマ+本作の映画。

劇場で、ゲラゲラ笑う声が何度も聞こえた。

同じタイミングで笑う人、違う人、人それぞれ笑うシーンが違って、これが劇場で映画を観る良さだなぁと、しみじみ。

作中でもそれぞれが映画への想いを語っていたけど、その魅力を本作がすべて具現化していた気がする。


ーー南相馬市の名画座・朝日座のオーナー・森田(柳家喬太郎)は、映画のフィルムを焼いていた。そこに一人の女がズカズカとやってくる。この映画館を立て直しに来た、自分の名前は茂木莉子(高畑充希)だと。謎の行動をとる彼女実は、恩師(大久保佳代子)との約束を携えていたーー

もぎり子ってw

本名は「浜野あさひ」とナレーションで白状しますが「浜通りの浜に野原の野、あさひはひらがな」って言っていたのが、胸アツだった。

福島は広いので中通り、浜通り、会津地方と3ブロックに分けていて、天気予報はブロック別に報道されます。福島の人なら「浜通りの浜」が王道の紹介法なのかも。

パンフレットにも記載がありましたが、福島の人ならこう言うかな?こんな行動とるかな?っていう視点を、綿密な取材を元に盛り込んだそうです。

ほんの些細なことだけど、タナダ監督の人柄が感じられて、とても嬉しかった。


ドラマでは高畑充希さんと柳家喬太郎さんの会話の小気味良さに魅了されましたが、映画では大久保さんの女優ぶりにびっくり!!
田中先生じゃなくて、大久保さんそのまんまだよね?w

人間味があって男にめっぽう弱い田中先生。
わたしもあんな先生に出会いたかったよ。


映画を観てもお腹はふくれないけど、どうしようもなく辛い時、誰かの助けになることもある。
コロナ以降、映画館の運営は本当に大変だと思う。無くなってから惜しみたくないので、出来るだけ劇場に足を運ぼう。そんな気持ちになりました。

南相馬市という土地柄、震災+原発のことも否応なく絡んできますが、センチメンタルでも大袈裟でもなく、同情を煽る感じもない。

ただ踏ん張ってきた素朴な福島県民が、街の映画館に少しだけ希望を託す、そういう話。

状況が許せば、劇場応援のために映画館で観てほしい作品です。
壮大なスケールとかじゃないけど、意味があると思うので……。


ところで、パンフレットにあった、監督と演者さんたちが選んだ「組んでみたい映画2本立て」がすごく面白かった。

わたしは、韓国映画週間なら『スイング・キッズ』✖️『エクストリーム・ジョブ』かな。号泣からの爆笑で帰ってもらいたい。
無難だ…w

フランス映画なら…🤔って際限がなくなるので、この辺で。
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