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浜の朝日の嘘つきどもとのarchのレビュー・感想・評価

浜の朝日の嘘つきどもと(2021年製作の映画)
3.5
「これでよかった、にしていかなきゃな。」
その言葉に胸が締め付けられる。

大震災を経験し、今コロナ禍に見舞われている日本、その中でも震災の中心地であった福島を舞台に、人にとって何が大事なのかを問いかける物語になっている。

人にとって何が大事で残すべきなのかを、コロナ禍の時代に誰もが考えさせられたはず。それによって良くなったこともあるにせよ、この世界の余白は切り捨てられ、誰もが世界を狭く感じたはず。
その中で窮地に立たされたもののひとつに映画館がある。政府の方針により映画は館は大した補償もなく運営を自粛刺せられ、多くのミニシアターに打撃が与えられ、今、小さな映画館とが消えようとしている。

そんな時代において、映画館が人にとって不要不急であるのか。また配信などが普及する昨今において、映画館があり続ける理由はなんなのかという命題に、この映画は向き合っている。

多分映画館というのは余分で非効率であるのは間違いない。地方にとって映画館があるくらいなら雇用を生み出すスーパー銭湯があった方が良いのは間違いないだろう。
その中最初に書いた「これでよかった、にしていかなきゃな。」が痛烈に刺さる。
この先、映画館はその存在意義を自ら主張していかなければならない。不要不急であると証明していかなければならないのだ。

大きな問題に対してパーソナルな問題と感情論で強く出ている部分はあると思う。ただそれでも、面白かったし、劇場で見てよかったと、特に劇場の垢の他人と一緒に笑えてよかったと感じた。
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