爆裂BOX

ヒッチャー ニューマスター版の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

4.2
ニューマスター版で久しぶりに再見しましたが、やはり面白いサイコ・サスペンス・ホラーの傑作ですね。
何といっても殺人ヒッチハイカージョン・ライダーが魅力的すぎる。初登場シーンの雨の中ずぶぬれで親指掲げて立ってる所から異様な不気味さ漂ってます。一家が乗った車が通りすぎてこちらを見る子供たちにジムが笑いかけてたら隣でティディベアの陰から笑顔で顔現す所は何度見てもギョッとなります。神出鬼没にジムの前に現れて次々と殺人を繰り返しその罪を擦り付け追い詰めていくかと思えば警察とのカーチェイスではヘリを拳銃で撃墜して助けたりと目的を掴ませない行動の数々も得体の知れなさに拍車をかけます。実際最後までハッキリ目的明らかにならないけど「俺を止めてみろ」という言葉やジムに自分を殺させようとする行動など、殺人衝動を止められず自分を止めてくれる人間を切望していたのかなとも思えますね。気弱な若造に見えたジムが自分を車から叩き落したことでその可能性を見てジムに執拗に執着したのかな。実際、後半は繋がりあってきますしね。取調室のマジックミラー越しに名前を呼ばれてそちらを見たり、顔に吐きかけられたつばを指で拭って嬉しそうになぜるシーンが印象的なのもこの二人の一種のラブストーリーとも捉えられるからかも。戸籍も前歴もなく、名前も本名かわからない全てが謎に包まれたまま終わる所も素晴らしい。そして演じたルドガー・ハウアーの存在あってこそここまでの存在感発揮する悪役になったんでしょうね。
凄く若くてイケメンのC・トーマス・ハウエルも話し相手を見つける為と良かれと思って乗せたことで殺人鬼の汚名を着せられ警察に追われまくる理不尽な運命に翻弄される主人公役あってましたね。最初は気弱で泣きそうな表情だったのが後半の対決の時はきりっとした表情に変わっていく所も素晴らしいな。まだ大人になり切れていなかった青年が過激な通過儀礼を経て成長していく物語でもあるんですよね。VHSの「地獄に触れるー青春の最終章(エピローグ)」という惹句はこれを現していて結構好きです。
ジェニファー・ジェイソン・リー演じるジムを助けて行動を共にすることになる蓮っ葉なヒロインぶりも良かった。恋愛関係になりそうでならない所も。それだけにあの悲惨すぎる末路は啞然。このナッシュのシーンや一家惨殺のシーンをハッキリ見せない所も頭の中でより悲惨な想像させてくれてグーですね。
中盤の警官隊とのカーチェイスシーンもクラッシュシーンなど中々迫力あって楽しめました。
最後の対決も車で跳ね飛ばして決着、と思わせて背後で立ち上がる姿は分かっていてもやっぱりインパクトある。車のそばで疲労困憊でタバコ吸うジムの姿はなんか沁みるなぁ。ライダーの願いは成就したわけだから彼敵にはハッピーエンドですね。
何度見ても面白くて楽しめた作品でした。