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サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイスのSのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

2021/03/29 名古屋シネマテーク

土星からやって来たと公言し、ジャズの伝導師として半世紀に渡って不可解で崇高な美を創造したサン・ラー(1914-1993)主演のSF映画。

映画を観る前に初めて聴いたサン・ラーのアルバム(DISCO3000)は、単なるジャズにカテゴライズ出来ないほど実験的な音だった。アルバム毎にイメージがかなり変わるそうだが、ジャズ初心者に勧める正統派のタイプで無いのは間違いない。
予備知識を持たず映画を鑑賞したが、ツタンカーメンのような派手な衣装を纏うサン・ラー(ラーというのは古代エジプトの太陽神の事らしい)や、ソウル・パワー対NASAという不可解すぎる設定に、シーンとシーンの繋ぎの雑さを筆頭にした映画全体の完成度は置いておき…人種差別や偏見に対する抑圧からの開放といったメッセージ性を感じ取った。
だが、肌の色だけの話ではないらしい。映画を観た後に調べたが、サン・ラーは第二次世界大戦中に兵役を拒否したことを機に迫害や黒人差別で受けた怒りが彼の精神性の基になり、次第に膨れ上がったような得も言えぬような狂信的かつ宗教的なパワーを放ち、ヒッピー信者を産んだというのは頷ける。今回日本初公開だが、そもそも約半世紀前この映画はサン・ラーの信者に向けて作られたのだろうか?
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