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ステージ・マザーのTEPPEIのレビュー・感想・評価

ステージ・マザー(2020年製作の映画)
3.1
ジャッキー・ウィーヴァーに他力本願な作品となっていた「ステージ・マザー」はせっかくのコントロバーシャルな題材との「勝負」から逃げてしまった、弱腰なステレオタイプなドラマに落ち着いてしまったのが非常に勿体ない映画だった。

テキサス州に住む主婦メイベリンは、長い間疎遠だった息子リッキーの訃報を受け、リッキーの暮らしていたサンフランシスコへ向かう。そしてひょんなことから、リッキーが経営するゲイバーのオーナーとなる…というストーリー。背景を描いているつもりでも、あまり変化のないキャラクター達の扱いはかなり雑で、尻切れトンボ状態である。
マイノリティの人物たちへの掘り下げや、表面的な描かれ方をしており、社会への訴えなどは皆無。別に理屈抜きで楽しめるかどうかで言えば、やはり見どころはジャッキー・ウィーヴァーの演技である。
ジャッキー・ウィーヴァーのキュートな田舎の主婦を楽しんでみる。人間関係や、感動ドラマは非常に凡庸でも、ジャッキー・ウィーヴァーの演技だけは一流。

ルーシー・リューが脇を固めても、本作が伝えたいであろうものが霞みすぎていて、何とも中途半端な感動の押し付けを思わせる。
せっかく魅力的なユーモアに富んだ場面もあったのに、非常にエネルギーというか、スタミナ不足が否めなかった。

総評として、「ステージ・マザー」はステレオタイプな感動ドラマではあるが、ジャッキー・ウィーヴァーのおかけで作品そのもののクオリティが保たれているような映画である。惜しく思ってしまった。
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