あんず

ステージ・マザーのあんずのネタバレレビュー・内容・結末

ステージ・マザー(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

都合が合わなくて劇場に行けなかったけれど、ラストシーンを観て、やっぱりこれは劇場で観たかったやつだな~と思った。

メイビリンが、息子の死をきっかけに遺産のサンフランシスコのゲイバーを建て直しながら、本当の自分の想いに気付いて、どんどん行動的になって行く様子が観ていて痛快だった。思いやりを持って息子の恋人や仲間たちに接し、最初は水と油のようだった人々の間に化学反応が起きて信頼関係が芽生え、落ち目だったお店も繁盛するという大人が元気になれるサクセスストーリーだった。恋の行方と旦那さんとの関係は、どうなるのか気になるところで終わっちゃったけど。

一番衝撃だったのは、メイビリンが居候する家主のシエナ(くたびれた感じのルーシー・リュー、良かった)が恋人に暴力を振るわれた時にバッグからピストルを取り出し、男に向ける所。こんな可愛らしいメイビリンが銃を持っていたんだ~って驚き。更に「女性に暴力を振るうような男を銃で撃つのが夢だった」みたいな台詞をサラリと言い放って、メチャクチャ格好良かった。

ラストでメイビリンが亡き息子の映像を映し出しながらステージで歌うシーンは、やっぱり歌というのはその人の人間性や想いが出て、味わい深いなと感慨深く観た。その姿は『チョコレートドーナツ』のルディが息子のマルコを想って歌う姿とも重なり、母が子を想う気持ちは今も昔もこの先も変わらず、母は強しだなとつくづく思った。

歳を取ってから、人生を生き生きと輝かせている先輩を観て、歳を取るのも悪くないな~と誕生日を目前に少し明るい気持ちになれた。
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