Hideaki

あの夜、マイアミでのHideakiのレビュー・感想・評価

あの夜、マイアミで(2020年製作の映画)
3.5
1964年2月25日のマイアミ。カシアス・クレイがソニー・リストンを破ってヘビーウェイト級の世界タイトルを獲ったその夜、マイアミビーチから離れたハンプトン・ハウスの一室に集まったのは、カシアス・クレイ、マルコムX、サム・クック、ジム・ブラウンの4人だった。祝賀会を開くには似付かわしくない地味なモーテル。自分が自分であることを取り戻すために、自分たちがすでに手にしていた大きな力をどのように使うべきなのか。不安と苛立ちが混ざり、時に口論になる4人。そしてこの日を境に、彼らはそれぞれのやり方で、自分たちを支配するより大きな力から脱するために、次の歩みを進め始める。

元々は舞台作品だった本作は実話を基にした架空の物語であり、実際に起きたこととは時系列が逆になっている部分もある。例えばサム・クックが、ボブ・ディランの「Blwoin' in the Wind」を聞いて、ミネソタ出身の白人に書けて当事者の自分がこの曲を書けなかったことに触れるシーンがある。実際、サム・クックはこれに影響を受けて最高傑作とも言われる「A Change Is Gonna Come」を作るわけだけど、これはこの夜の前の話。ただ少なくとも4人がマイアミの夜、モーテルで一堂に会していたことは、その事実だけで、それすなわち映画のような話に思える。

本作はAmazonオリジナル作品で、今年のアカデミー賞候補。Netflixで配信している「リマスター:サムクック」を一緒に見るのもオススメ。
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