たむ

クラッシュ 4K無修正版のたむのレビュー・感想・評価

クラッシュ 4K無修正版(1996年製作の映画)
4.4
デヴィッド・クローネンバーグ監督作品の中でも最大級のヤバさ、変態さが際立つ映画史上空前の問題作です。
北野武監督『みんな〜やってるか!?』よりさらに危険な車映画です。

JGバラードさんの原作(主人公がジェームズ・バラードというのが既にとんでもない仕掛け…)、変態を演じさせたら世界最高峰のジェームズ・スペイダーさんとホリー・ハンターさんを獲得した時点で、クローネンバーグ監督の独壇場、一体何がどう思考したらこういう発想が出てくるのか。
たまたま最近『太陽の帝国』を、JGバラードさんの半自伝的小説の映画を観ていたため、あの子供がこういう作品を描くことになるのか、と思うと、ある意味セットで鑑賞するのもありだと思います。
戦争体験の恐ろしさと言いますか。

性的に満たされない夫婦、その夫が車事故で重体となるが、そのクラッシュの性的な快感があり、それにのめり込んでいく集団の仲間になり…というとてつもない物語です。
スペイダーさんは今でも世界有数の変態俳優としてウルトロンやレディントンを演じていますが、この映画では無口でナイーブさを持ちながら、『激突』『アオラレ』も真っ青のドライバーへと変貌。
クローネンバーグ監督の映画は身体とテクノロジーに大きなテーマを持っていることが多いですが、この映画でも車というテクノロジーと事故で傷だらけになり、ボロボロになった身体、タトゥー、傷痕が印象的に視覚化されます。
登場人物の身体は壊れており、満たされない欲望を車事故の中で得るものの、中毒性、つまりもっともっと…となっていく恐ろしさ。

賛否両論真っ二つに分かれる気もしますが、そういう映画こそ議論が出来るということでもあるわけです。
クローネンバーグ監督作品を観る続けている観客にとっても、かなり突き抜けており、難解ではなく、登場人物の精神・心理・行動に飲み込まれ、漂う、超体感型の映画です。

これこそ爆音かつ4DXで上映したら、この映画の中に入って一生出てこれないのではないかと思いました。
そんな奇跡がこの先起きてくれたら良いのですが…!