いの

クラッシュ 4K無修正版のいののレビュー・感想・評価

クラッシュ 4K無修正版(1996年製作の映画)
4.3
相当な物議をかました映画らしい。激しい賛否両論。ヴィゴいわく、「この映画を中立的に観ることはできない」・・・ヴィゴの言うこと、わかります!


初観賞が映画館でだったら、わたしは最後まで観られたか自信がありません。でも家での観賞は緊張し不安に襲われながらもひきこまれ、最後には、あの夫婦のカーチェイス?に「ばっかじゃないw」と笑える余裕も生まれました。4K無修正版、どこが無修正なのかはさっぱりわかりませんが、鑑賞後すぐに2枚目の特典映像をみて、トロント映画祭での上映後のお話をきいていたら、すっかり監督(とヴィゴ)推しの人間になりました。そして自分も映画祭に参加したような気持ちに(図々しい!) 「テーマなんて考えてないし、どう観て欲しいかなんて考えもしてない」とおっしゃる監督のことを、同席したヴィゴは「監督は観客を信用してオトナ扱いしてくれる」と言います。そういうのすごくいいなぁってアタシは思う。


「自己で強烈な死に方をした人間の性的エネルギー」に同化する人たち。死ぬ際の官能は、人はいっかいしか体験できないから、死の瀬戸際までいってみて、彼らはそれを何度も何度も味わうのだけれど(しかも回を重ねるごとに味わいはより深くなる)、この夫婦をみていると、超セレブだけれど抱えてる空虚さも底知れずで、もういつ死に至ってもおかしくない、というか、登場人物たちは死を希求しているようにも思える。車のなかでの窮屈な体勢でのセックス。官能は死とほぼおなじで。ジェームス・ディーンの事故を模倣するとか、のめり込み方が耽美すぎ


体の傷への愛撫や愛着、粘着などをみていて、これを死が近くにある人が観たらどう思うだろうかと、不遜なことかもしれないけれども考えてしまった。すごくよくわかると感じるのかもしれないし、即拒絶かもしれない。少なくともわたしにとっては、わたしの身体に刻まれている手術痕をもっと自分で愛してもいいのだと思えたことが、予想外の感情だった。その傷を誰かから官能的に愛されるということも肯定的にとらえたい。妻を演じたデボラ・カーラ・アンカーさんの台詞はほとんどなかったけど佇まいや雰囲気からとても伝わってくるものがあった。夫役のジェームズ・スペイダーを監督は「演ずることを恐れてない」と称していたけれど、それは映像からも伝わってきた。この役を自然体で演じることができるのは稀有なことだと思う。そして、この夫妻の導き手ともなるヴォーンを演じたイライアス・コディーズの強烈な不思議さ。わたしが映画監督でこの映画をリメイクするとしたら(妄想)、この役はホアキンにお願いしたいです。車自体の官能さや危うさや美しさも堪能しました。


共感とかそういうことでは全くないのだけれど、観てから少し日が経ち、この映画のスコアをこのようにつけたいと思うようになりました。映画としての完成度(いびつさを含む)を考えるともっと高得点でもいいのかもしれないと思うほど強烈



メモ
・撮影監督のピーター・サシツキー氏は、スターウォーズep.5の撮影を担当されたそうです。ep.4の時にも依頼を受けたけど、自分は特撮(じゃなかったかも)経験がないことを理由に断ったとのこと(特典映像インタビューより)