例えばキアヌリーブスの出世作「スピード」で。
空港の滑走路を高速で走り続けるバスから脱出するシーンは、見せ場の一つだ。たまたま乗り合わせたサンドラブロック演じる女性乗客を抱きかかえるようにして、警察官役のキアヌは、バスの床面からソリのような板切れに乗って滑り落ちるように脱出する。女性はデニムのミニスカートにTシャツみたいな格好で、たしかアリゾナ大学の帽子？を被ってる。服装自体がストーリーに関係してくるのだけどそれはともかく、大事なのは、サンドラブロックの代わりにバスから脱出したスタントウーマンは、めちゃめちゃ薄着でこのシーンを成功させなければならなかったということだ。
前置きが長くなったが、この「スタントウーマン」という作品は、文字通りそうしたスタントウーマンの活躍の実像をわりとシンプルに淡々と描いたドキュメンタリーだ。ポリティカルコレクトっぽい言葉ではなく、あえてスタントウーマンという言葉を使っているのは、スタントマンよりウーマンの方が歴史が古く、衣装面でも危険を伴う仕事が多く、それだけ誇り高い職業であることを示している。
誰もがよく知っている映画で、女性のアクションシーンがあったらそこには必ずスタントウーマンがいる。凝ったドキュメンタリー作品ではないけど、色々発見や気づきがあって、本当に見てよかったと思った。
