珍しいスロベニアの作品。
イタリア国境に近いスロベニアの栗の森。
落葉の地に開けられた穴に、広い集めた栗を埋めている4人の人々を捉えた俯瞰映像のオープニング。
仕事も無さそうな大工マリオは、バーのテーブルで男たちとハンドゲームで賭け、イカサマをやられ大損してしまう。
※テーブルの上にチョークで何か書いて、指を出し合って競うこのゲーム、調べるとMorra（モラ）という古代からのものらしいですが、迫力あるシーンです。
お金にしか執着がないマリオは長く連れ添った妻が重病で死にかけていることに気づき、真夜中に医者に連れていくが、やる気のない医者は家で寝かせとけと適当な薬を渡し帰されてしまう。
森をひとり歩いていたマリオは、“最後の栗拾いの女"とされるマルタが川に流してしまった栗を拾うのを見つけ手伝い、彼女の家を訪れる。
マルタは夫に捨てられたようで一人暮らし。この村を抜け出そうと計画しているようだ。
マリオにはジェルマーノという息子がどこかにいて、手紙を何通も書いているが出しておらず、死ぬ間際の妻はなぜジェルマーノに会えないのと愚痴る。
そして、妻にはお迎え（三人の賢者）がやってきて、マルタもこの地を去る。
やがてマリオも。。。
第二次世界大戦後、貧困と政治的緊張により実際に多くの住民が故郷を去ることを余儀なくされたという、この土地と民に捧げるとメッセージ。
全体的に暗いトーンで、見捨てられたような村の寂しさが沁みる中、
馬車に乗る若い女子2人がシルヴィー・バルタンの「La Piu Bella（アイドルを探せ）」♪でダンスするシーンが妙に明るく印象的。
なら国際映画祭: 審査員特別賞
ゲント(ヘント)国際映画祭: 作品賞グランプリノミネート
