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ザ・ホワイトタイガーのKaz66のレビュー・感想・評価

ザ・ホワイトタイガー(2021年製作の映画)
3.6
アメリカ・インドの合作だが、舞台や俳優陣はほぼインドで製作され、カースト制度と(世界最大の)資本主義の“闇”について描く。
原作はインド出身作家アラヴィンド・アディガによるブッカー賞受賞作「グローバリズム出づる処の殺人者より」。監督はマイケル・B・ジョーダンの「FAHRENHEIT 華氏451」を撮ったラミン・バラーニで、この監督は“格差・差別・迫害”などの社会問題・環境問題をテーマにした作品を多く撮ってる印象です。
前述の通り、ほぼインド・ロケで地方の貧しい町や都会でもスラムのシーンが多いので、主要な(5,6人の)役者さん以外はほぼほぼエキストラと思いますが、その辺りがすごくリアルです。
こんなカースト制度という“差別・人権侵害”が当たり前の社会制度として永年続き、それがもうおかしいとも思わないし、DNAレベルでそれが染み付いてる異様さ。
また、資本主義での自由がそういった貧民からの搾取によって成り立っていることの、制度(政治)としての危うさにブルブル震えるような怖さを感じました。
貧困層出の若者が、ある事件をキッカケに成功者を目指すというストーリーですが、ある事件までは面白かったのですが、その熱量からすると終盤はちょっと拍子抜けで、インドにおける『成功とは?幸せとは?』というところをもう少し描いて欲しかったです。
アカデミー賞脚色賞にもノミネートされてるようで、残り15分ぐらいまではとても面白かったです。
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