山Q

誰かの花の山Qのネタバレレビュー・内容・結末

誰かの花(2021年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

ヤバい邦画の名作に出会えた。
冒頭のカトウシンスケの鏡越し顔演技からの鼻毛抜きシーン。
薄々勘づきながらも認めたくないから都合の良いように解釈して自分に言い聞かせ、なかったことにしつつ、パチンコで紛らわすも上の空などの心理描写がリアルすぎてほんまにエグい。
お父さんの認知症演技もリアルすぎた。
パンジーの隣人にも家族がいて、葬式のシーンはどの立場の人も苦しい名シーン。
ヘルパー女性も単純な正義感と言うよりは自分のせいで無実の隣人が追い詰められている可能性に対する罪の意識があったと思われ、とにかく全員が苦しい。役者さんも思い出す限り全員ハマっていて素晴らしかったが、とことんリアルな日常を描く今作ではちょっとサイコキャラが出過ぎてた気がした。
でも目力や雰囲気など存在感は半端なかった。
車のシーンはヒヤヒヤしたし、クラクションでビクってなった。
リモコン電話のシーンや、エレベーターをうまく使ったシーン、など思い出してもマジで全シーン考えさせられる大好きな映画だった。
上映後の奥田監督、カトウシンスケ氏の作品への向き合い方を聞いてますます本作が好きになった。
監督が言っていた被害者側から別件の加害者側になったときに狡いことを考えてしまう可能性みたいな話はめちゃくちゃ興味深かった。
2回目観るのが早くも楽しみだが、オールタイムベスト級に好きになりそうな作品。
映画のキモになる暴風の日はあらかじめ調査して撮影に臨まれたのか気になったが聞きそびれた。
山Q

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