安定感のある出来。存分に楽しんだ。
でも、そこに特別な驚きはない。
東野圭吾原作×木村拓哉主演×「HERO」の鈴木雅之監督で「マスカレード・ホテル」のシリーズ第2弾。
ストーリーは都内マンションで起きた殺人事件の犯人が、大みそかにホテルで開催されるカウントダウンパーティ「マスカレード・ナイト」に現れるというもの。500人の参加者は全員が仮装して顔を隠しているパーティ開始に向け、限られた時間の中、素顔のわからない殺人犯を捕まえるべく奔走する。
ホテル・コルテシア東京に再び潜入した刑事・新田浩介役に木村拓哉。
キムタクがキムタクである限り、安心してキムタク感を楽しめる。それは偉大なことだ。ここ数年、SMAP解散時に一度アンチが増えてからそれを帳消しにするかのように大人のカッコ良さが増し、娘たちもブランドになり、一周回ってやっぱり、一本筋の通ったスター、キムタクはかっこいい。と思ってしまう。
彼とバディを組むホテルウーマン・山岸尚美に長澤まさみ。超真面目なホテルマンだけど無理と言えない過剰なサービスぶりに、ピント外れなお節介と、やっぱりこんなホテルマンはいない。
未読なので原作と比較はできないが、謎解きトリックは、伏線とミスリードを散りばめながら後半に畳み掛けるものの、辻褄合わせな印象で、あ、そうなのね、という感想。
ただ楽しめなかったわけじゃない。
全て怪しげに見える豪華共演陣も次から次に出てきてワクワクする。
特に印象に残った役者陣は、小日向文世、沢村一樹、麻生久美子の3人。芝居で魅きつけられる閉鎖空間での舞台劇の趣きも楽しめる。
また、映像的にも鈴木監督お得意なシンメトリー構図を徹底したホテル空間でのやりとりを見ているだけで楽しい。
このマスカレードナイトは豪華ホテルに足を踏み入れた高揚感を味合わせてくれるのだ。
仮面舞踏会とアルゼンチンタンゴ。
マスクをつけると人は大胆になる。
匿名性の不気味さと魅惑を帯びる。
高級ホテルの豪華さがそれを彩る。
非日常の場で非日常の自分に会う。
自分に特別感を抱く魔法をかける。
そんな気取った演技合戦が楽しい。
鈴木監督は観客が見たい画を明快に見せてくれるサービス精神に満ちた監督だ。
その点で前作と同様、グランドホテル形式の🏨世界観を楽しめたので良かった。
でも4点に満たないのは、やっばりWOW!という驚きが無かったこと。
どうしてもサスペンスには「真実の行方」や「ユージュアル・サスペクツ」にある、えーーっ⁉️という驚きを期待するけど、(サスペンスで無くても「マトリックス」やノーラン作品にはある)そんな作品と出会えることはそうはない。
それは仕方がないのかもしれない。
でも欲張りな映画ファンはいつでもそんな驚きに満ちたWOW⁉️を求めてしまうのだ。