改名した三島こねこ

冷血の改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

冷血(1967年製作の映画)
4.1
<概説>

隣人からも評判の四人家族が、たったの40ドルのために突如惨殺された。捜査に悪戦苦闘する警察組織とは対照的に、犯人二人はのどかな逃避行を謳歌していてーートルーマン・カポーティが著した傑作実録小説を、美しきモノクロの映像で魅せる実写化作品。

<感想>

これは掘出し物。これは素晴らしい。

元々物語はサスペンスの筈なのです。

一家惨殺。完全犯罪。40ドルの悲劇。

それだけでも十分一本の映画になるような題材。

しかし本作の目玉はそこにはない。
本作真の目玉は犯人二人の軽佻浮薄な雑談と、監督の素晴らしい道中の映像構成力。いっそロードムービーとしてもいいくらいに逃避行は耽美で、犯行計画を立案している時でさえ彼等の姿に陶酔してしまいます。

道中少年とコーラ瓶拾いをしているシーンなどは、もうそれだけで凡百のロードムービーを圧倒する威力。これぞ映画。これぞ活動写真。これぞ映像芸術と礼賛するばかり。

人情も。戦慄も。絶望も。すべてが一本に詰まっている。

著名な賞こそ獲得してはいませんが、こういった作品こそ後世まで語り継いでいきたいですね。大満足です。