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暁の追跡のcatmanのレビュー・感想・評価

暁の追跡(1950年製作の映画)
4.0
1950年公開。黒澤明『野良犬』の翌年。後援:国家地方警察本部、援助:東京警視庁ということでほぼ全編に渡るロケ撮影がもたらすリアリティがめちゃくちゃ良い。大勢の人でごった返す署内の事務所をカメラが平行移動しながらの撮影とかもう玉乱。終戦から僅か5年後、街の様子も興味深い。新橋の酔っ払いは当時も今もそんなに変わらない様子。主人公はその新橋汐留口の交番に勤務する若き巡査で、演じる池部良がめちゃくちゃイケてる。ヒューマニストでナイーブな役柄がマッチしていて、この人はホントに声がもう少し良かったら最高なんだけどな。古い邦画のあるあるで、台詞が半分くらいしか聴き取れなくて話の筋を良く理解出来ないのがストレス。それでもフィルムノワールや骨太コップムービーの要素が端々に感じられて感動する。重要な場面でミニチュアを使った大胆な特撮がある事にも驚く。警察がバックアップしてはいるものの露骨なプロパガンダでは無いのも良い。監督は市川崑で脚本は新藤兼人。93分。
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