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ブレット・トレインのtrickenのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
4.0
『キック・アス』の頃には頼りない男子を演じたアーロン・テイラー・ジョンソンが、(キック・アス続編では既にマッチョの兆しを見せていたとはいえ)暫く見ない間にこんなにも立派なダンディ仕事人を演じられるような風格を身につけていて、感動してしまった。近所のおばちゃんが成長を見守ってきたような気分ってこんな感じなんだろうな。敵方でないサムライ風真田広之や、左袖でリボルバーを転がす(童心に帰って真似したくなるような)所作など、キッチュなシーンがたくさん摂取できたのは健康によかった。

プリンスに関する演出は、もう少し泣き落とし以外のバリエーションや活躍があっても良かったと思う。彼女もヒットガールのような殺陣をもっと決められたら、この映画が実質的にタンジェリン&レモンの映画のようにならずに済んだはず。

日本描写については、静岡と名古屋の間を走っていた時にはなかった富士山が名古屋と米原の間にはズデンとあったり、新幹線なのになぜか深夜出発で京都近くで早朝を迎える謎の夜行列車運行であるなど、どこまで狙っているのかわからないすっとぼけぶりをどこまで評価して良いかはよくわからない。たぶんあの世界の東京と京都の間は新幹線速度で9時間くらいかかるんじゃないだろうか。どれだけ長いんだよこの世界の東海道は。

冷静にみると色々滅茶苦茶で破綻したところも見つかる映画なのだけれど、撮ってくれた数々の絵に感謝の気持ちで加点していくと気がつくとこのくらいの点数を上げてしまいたくなる映画だ。かわいいお子さんにとりあえず飴ちゃんあげてしまう近所のおばちゃんの如く。
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