竜平

ブレット・トレインの竜平のレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
3.9
舞台は日本。とある依頼を受けて新幹線に乗ってくる運び屋の男が、同じくなんらかの依頼を受けて乗ってくる殺し屋やワケあり人物たちと遭遇、やがて熾烈を極める争いに巻き込まれていく、という話。コメディ的アクション及び群像劇。

ヘンテコ日本の描写や設定など、そこらへんのツッコミ所はとにかくスルーする約束で見るとして。原作が伊坂幸太郎で、そっちは未読なんだけどまずハリウッドが日本の作品をがっつり大作映画として世に出してくれるのって日本人としてはなんか嬉しい、これ俺だけじゃないよね。ちょい前だと『オール・ユー・ニード・イズ・キル』みたいな、邦画として制作されてたらたぶんショボくなってただろうなってゆー。そんな感じで映像面は安心安定のクオリティーだし、映像演出や挿入歌によって非常にポップな作風に仕上がってるのも良き。今作は更に主演のブラピ、ひとまず彼の魅力だけでもずっと見てられる、ってのも俺だけじゃないはず。監督が『デッドプール2』などのデヴィッド・リーチで、アクションシーンなんかはその節が全開、スピーディーでハチャメチャ系のそれは興奮すること請け合い。たまにちゃっかりグロかったりするのも、ね。

アイテム、会話、人物の行動など、前半なんかとくに伏線がめちゃくちゃ張られるし、その張り方というのもめちゃくちゃ細かくてさりげない。なんというか見てる最中は「これ絶対あとで出てくるよな」って思うんだけど、後で出てきた時に「そういえばそうだったー」みたいな。なかなか巧妙。たぶんこの感じって伊坂幸太郎作品の節なんだろうね。で、登場人物がたくさん出てくるんだけどこれも多彩なキャストがクセたっぷりに好演してる。アーロン・テイラー=ジョンソンとブライアン・タイリー・ヘイリー扮する双子の殺し屋「タンジェリン」と「レモン」あたりには否が応でも愛着が湧いてしまうんじゃないかな。出てきてはすぐ死んでいく奴もしばしば、これは笑いどころ。そんで我らが真田裕之、刀を振る立ち回り、丁寧な日本語もかっこいい。あと何気に豪華なカメオ出演も見どころ、かな。

正直何か深いものがあったかと言われたら、それは皆無。今作に関しては心に響くようなヒューマンドラマだとかサスペンスだとかそんなのは置いといて、とにかく視覚的に楽しませてくれる。てかそれに徹してる印象すらある、いやはや潔い。てなわけで頭を空っぽにして楽しめる痛快エンターテイメント。たまにこーゆーの欲しくなるよねー。
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