りょう

ブレット・トレインのりょうのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
3.8
 先週も滋賀県に仕事で出張したので、米原まで新幹線を利用しました。この作品に登場する高速鉄道は、あくまで新幹線ではない架空の列車“ゆかり”ですが、品川、新横浜、静岡、浜松という“ひかり”の停車駅が登場して、ちょっと感心しました。富士山の登場するタイミングが完全に間違っていたり、双子の目的地が京都なら“のぞみ”に乗車すべきだったし、しかも到着するのが早朝って…。こんなツッコミができるのは日本人だけの特典なので、それはそれでよかったと思います。
 物語は単純ながら、何人も登場する暗殺者たちの目的や相関関係がはっきりしないので、それを想像しながら高速で展開するシーンや情報量と対峙することになります。終盤にネタばらしがあってスッキリしました。
 ヘンテコ日本の描写は愛嬌を感じられるし、逆輸入された日本製品のような感覚で観れば許容範囲というレベルです。それは真田広之さんの存在感があってこそのものでしょう。もう少し日本人のキャストがいてほしかったですが…。終盤のクライマックスで使用される麻倉未稀さんの「ヒーロー」って、どういう意図で選曲されたのかわかりませんが、この楽曲をバックに真田広之さんの殺陣が観られるなんて、小中学生のころに「スクール・ウォーズ」を観ていた50代のおっさんとしては、まるで異種格闘技のようで鳥肌ものでした。
 あまり残るものがない作品ですが、126分のハイテンションは、ただただ気分を爽快にしてくれる佳作でした。こんな痛快な原作があるのに、なぜ日本で映画化できなかったのか…、それもよくわかるスケール感です。
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