コ

ボクたちはみんな大人になれなかったのコのレビュー・感想・評価

4.0
 フツーが1番だよ、その一方で、フツーっておもしろくないよね、と。フツーの定義はあやふやなまま、それでも時間は確実に過ぎていく。僕たちは着実に大人へとなっていく。
美化された過去に後ろ髪を引かれながらも、現状に不満足でも、フツーの域を出ずとも、年を重ねていく。
そんな現実から目を逸らすための方便としてのフツー嫌悪。うーん、なんとも身につまされるというか覚えがある分、途中何度も中断しそうになりました。大なり小なり普遍的で、くすぶっている現状とそれでも時は流れる現実を認めたくなくって、、それでも周囲は着実に現状と向き合い出す。フツー嫌悪の象徴である劇中のかおりはフツーと向き合って大人になるし、あの頃同じ歩幅で同じ体感速度で時間を過ごした仲間は家族という現実と向き合って歩き出す。
どこか孤立している自分は未だフツーの呪縛のなかにいる。
ただ前述した通り全員に当てはまるフツーの定義などなくて、それぞれのフツーがその人にとってのフツーであるわけで共通の一つの答えなんていくら探しても見つからないもの。ただひたすらにいつか終わる人生のなかで自分なりのフツーを見つけ出し、大人になるためにもがく若者たち(まさに今の自分はこの渦中)の時代をどう生きるのか。はたまた自分なりのフツーは見つかるのか。
 僕たちはみんな大人に…"なりたかった"もがく人間たちの物語、傑作でした。
明日は新宿3丁目をあてもなく歩こうかなあ。

森山未來、伊藤沙莉、東出昌大の三方は言うまでもなく素晴らしかった。
コ