TakeshiKaneko

ボクたちはみんな大人になれなかったのTakeshiKanekoのレビュー・感想・評価

4.2
 
「君は大丈夫だよ、おもしろいもん」

小説でも映画でも何度もでてくる言葉。
燃え殻さんは、「僕が今日まで何とか騙しだましやってこれたのは、言った当人もきっと忘れてしまったであろうそんな言葉があったから」と。

自分もいろんな言葉を思いだした。 

中1の時 現国先生から言われたあの言葉。
高1で同じクラスの女子から言われたあの言葉。
入りたての会社で 先輩から言われたあの言葉。

言った当人は全く覚えてないに違いない、そんな言葉を頼りに僕もなんとかやってこれた気がする。

いろんなことを思い返してしまう映画。

ピンク色の電話、
オザケン、
パオ、
ノストラダムスの大予言

そして、
あの過酷な仕事。
ずいぶん前、印刷会社にいたことがあって、かなり酷い環境で終わりなき作業に追われていたことがある。
映画のあの仕事に似てる・・
その頃を思いだした。

原作の文庫本の巻末にあいみょんの
「アンサーソング」というエッセイが
載っている。
その中で、あいみょんが
「一体どこまでが燃え殻さんのリアルなのか」と送ったメッセージに対して燃え殻さんがこんなことを言っていたと書かれている。
「どこまでが本当だっただろう。過去は変えられるなぁと書きながら思ってました。希望を足せるなぁって。自分にとって小説は希望です。」

ああ、そうなのかも。
同じように、僕らは思いだしたくないような記憶に知らずしらずに手を加えながら帳尻を合わせているのかもしれない。
自分が壊れないように。

いろんなことを思い返してしまう映画だった。
TakeshiKaneko

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