しちれゆ

ボクたちはみんな大人になれなかったのしちれゆのレビュー・感想・評価

3.6
2020年46歳のボクは冒頭で呟く
「つまらない大人になってしまった」

森山未來演じるボクは女々しくて優しくて冴えなくて46にもなって21の時の出会いを引きずったまま生きている。90年代渋谷系カルチャーの只中にあって彼はジメッとした4畳半フォーク的な匂いすら放っている。20代の彼に対しいつも「ほんとフツーだね」と言い、恐らくはそれが別れの原因だったであろうサブカル女子かおりはちゃっかり結婚し子供を産みFacebookの中で超普通の幸せを見せつけている。かおりが心底幸せかどうかは分からないけれど若き日の自分に別れを告げて世の中と折り合いをつけているのは確か。

今は廃屋となった2人の″宇宙″円山町のラブホを抜けパルコに辿り着き、また2020年46歳のボクはラストで呟く
「ほんと普通だわ」

46歳、自分の社会的立ち位置の限界が見えてくる頃。
いつの時代も若者は過剰な自意識に絡め取られる。人と違う自分、唯一無二の自分。けど、本当のところ持ってない奴はずっと持ってないままなのだ。
世の中の人間の80%はゴミ、20%はクズ、とまでは思わないけど、
普通、上等。だと思う。
しちれゆ

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