「それって、普通だよね」
この映画で度々出てくるキーワードは「普通」
自分には他人と違う何かがある。自分は他人とは違う(はず)。そうやって普通じゃない自分を探し求めて、でも、結局は「普通の大人」になってしまう。
希望は薄れて社会や家庭のしがらみに揉まれて現実と付き合わざるを得なくなり、いつのまにか、「普通の大人」を維持することにすら、精一杯になってしまう。
「世の中の80%はゴミ。残りの20%はクズ」
つまらない普通の大人の日常を過ごす中、ふと文庫本に挟んであった昔の彼女からの絵はがきを見つけ、イタイながらも一生懸命だった過去を思い出していく。
そういう映画です。
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燃え殻さんの繊細な文字による世界観が好きで今まで観ていなかった映画ですが、森山未來さん、伊藤沙莉さんの好演で、繊細な世界観が表現されていたように思います。
私自身、ビューティフルドリーマーは3回は見ているし、フリッパーズギターをライブで追いかけ、解散後もオザケンを追いかけてたっていう・・、まるで他人事とは思えない映画でした(イタイですね・・)
この映画、2020年から過去へ遡っていく形で進みます。
なので、そもそもハッピーエンドではない前提で物語は進むわけですが、観ているうちに、この映画、なんとかハッピーエンドで終わってほしいなぁと願っていたのは、多分、自分を投影して見ていたんですね。
「世の中の80%はゴミ。残りの20%はクズ」
「でも、1%ぐらいはいい奴もいると思うんだ」
主人公の言葉が、響きました。