しゅん

Billie ビリーのしゅんのレビュー・感想・評価

Billie ビリー(2019年製作の映画)
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ビリー・ホリディの単なるバイオグラフィーではない。ビリーの伝記を書き進める途上で不可解な死を遂げた女性記者リンダ・リプナック・キュールの残したテープを元に構成されていて、二人の人間の生涯を巡るミステリーとなっている。
作品構成と声の隠微な絡み合い。ビリー・ホリディの歌は、ストーリーテリングを時に補完し、時に物語と対立する。柔らかさとしゃがれが多層的に響く声が全てを貫きながら、どこまでも闇は消えない。その暗く虚しき祝福にグッときてしまう。

スウィング時代の帝王、カウント・ベイシーと記者は喧嘩しつつ関係を深めていったらしい。歳の差のある二人の曖昧な関係は、もしかしたらリンダの死より近寄りがたいかもしれない。
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