なっちゃん

マ・レイニーのブラックボトムのなっちゃんのレビュー・感想・評価

3.8
好き系の映画だった。

閉ざされたドアさえ開ければ道が開けると信じるレヴィと、長い経験から(当時の黒人の中ではマシな)生活に妥協しながらそれでも自分だけの小さな幸せを見つけているバンドの大人3人、そして絶え間なく、アーティストとして白人と対等な権利を勝ち取り続けることを余儀なくされるマ・レイニー。
どの生き方だって白人に産まれてさえいればしなくてよかった。

終盤、ブルースも白人のものにされて、マ・レイニーだって現場では横暴だけどレコードになってしまったらどう使われるかわかったもんじゃない。ブルースは黒人の魂の歴史なのに、背景を知りもせずダンスの曲として消費される。

オチも悲惨で、少ない報酬をもらいレコードの話を無下にされたレヴィは足を踏まれたと言って仲間を刺す。
真にレヴィーの足を踏んでるのは彼ではないとわかっているはずなのにな。タイトルよろしく黒人の底で暴発する、不快に膨れ上がった凶悪な夏の暑さのようなフラストレーション。
1920年代が舞台だけど、昔の話と片付けられない内容だった。
なっちゃん

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