Jun潤

マ・レイニーのブラックボトムのJun潤のレビュー・感想・評価

3.8
2022.01.13

第93回アカデミー賞案件。
衣装デザイン賞とメイク・ヘアスタイリング賞を受賞。
今は亡きチャドウィック・ポーズマン主演作品。

1927年、シカゴにある録音スタジオ。
マ・レイニーのレコードを録音するために集まったバックバンドのメンバーとマ・レイニーの彼女と甥。
レコーディングを通して、黒人たちの怒りや悲しみ、矜持が描かれる。

差別問題や洋楽には詳しくないので、純粋に作中で描かれていたものを感じました。
夢を持ち、金を稼ぎ、変わることのない白人たちの世界の中で生きる黒人たちの世界。

今作では特に、長回しの台詞やキャスト陣の演技でもって登場人物たちの過去やこだわりなどの背景が伝わってきたのが印象的でした。

また、感嘆とした場面は自由を求め、扉を蹴破ったレヴィーの先にあったのが、深い深い穴の底というのが、皮肉さと哀しみが溢れていた場面でした。

衣装デザイン賞とメイク・ヘアスタイリング賞を受賞ということで、視聴中は特に人物を注目していましたが、なるほど確かに時代や黒人なりに立場を受け入れて金を稼いでいることを感じる服装でしたし、エンドロールで出たマ・レイニーの写真とヴィオラ・デイヴィスのビジュアルが一致していてすごかったですね。

しかし今作はもうチャドウィック・ポーズマンですね。
上述の衣装だけでなく台詞の力強さ、「ブラック・パンサー」で見たような父を亡くした悲しみを抱く国王兼ヒーローの姿とはまた違った、自分の夢でもって白人たちに復讐を果たそうとする姿、力及ばぬ痛烈な運命が伝わってきました。

これだけ黒人差別とその音楽を扱っておいて、ラストを白人たちの音楽で締めるというのも皮肉でいやらしくて好きですね。
Jun潤

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