たかとら

Tokyo 7th シスターズ 僕らは青空になるのたかとらのネタバレレビュー・内容・結末

3.1

このレビューはネタバレを含みます

アプリゲームの為、学生向けかと思ったが、プリパラに近い女児向けアニメのテイストに似ており意外に感じた。
キャラクター達も非常にシンプルで幼い。しかしその中で、
「どうしてアイドルをしているのか…それは、誰かの背中を押したいから」
という一貫性のあるメッセージを大切に出来ていた点は評価できる。
ラストライブシーンでは、過去にスタジオに通っていたファン達が、過去にもらった感動を恩返ししたいとちゃんと、再びステージに駆けつけるシーンがある。
過去のアイドル達がファンを介して新しいアイドル「ナナシス」の背中を押す、こういった「背中を押し(推し)続けてくれたら今がある」という関係性がはっきりと描かれていた。近年のアイドルアニメではキラキラしたい、自分の音楽を奏でたい等、「自分自身やメンバー内での葛藤」を描く作品が多い。そんな中でもファンとアイドルの立ち位置を重視した本作品はコミュ(共同体)を感じられる温かい作品だった。

一方でキャラ達が非常に多いので、各キャラの内面より表面が描かれてしまった印象がある。また、本作品にはスタジオを潰そうとする滑川という人物が登場するが、この点が非常に勿体ない。滑川はアイドルオタクだったが、アイドル達が引退してしまった事に絶望し、以降アイドル達を潰すよう仕向けるようになったという過去がある。これが非常にテンポを悪くしており、さらには短編映画のためキャラ達の喜怒哀楽が忙しくなってしまっている。アイドル氷河期であるという設定があるので、時代とともにスタジオが封鎖されるという流れは自然に描けたように思う。下手に勧善懲悪のようなシナリオになってしまった為、ナナシスの立ち向かう姿や葛藤がチープに見えてしまう場面もあった。時代とともに幕を閉じるものも有るが、その中でも誰かの背中を押してそれが続いているという「世界の理の中に見える輝き」を簡潔に描ければ明るいシンプルなストーリに出来たのではないか。
次回作があれば各ヒロイン達のサイドストーリーに期待したい。
たかとら

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