☆☆☆★★★
※ アキとミカを勘違いしていたので改訂しました。
謎の言葉を発する中国人が作る『かもめ食堂』
簡単に。
ロードムービーと言う定義が有るのならば、《流れ者》ムービーと言う定義だって有って良い!
そしてまた《カウリスマキムービー》と言う映画の定義もなのだ。
中国4000年の食文化の力が、フィンランド人の胃袋を幸せに満たす。
アキが描く〝 ヘンテコな日本趣味 〟を全開にした妙なストーリー展開の作品と比較したならば。ミカが描くこの中国人シェフと、1人で食堂を切り盛りしている。フィンランド人女性との単純的な恋愛模様を描いているのが、もう一つの《カウリスマキムービー》と言ったところ。
おそらくですが、日本趣味全開のアキの《カウリスマキムービー》が好きだった人からは。「何か…普通過ぎない?」と揶揄されやすそうな気はします。
逆に言えば私の様に、そんなアキの《カウリスマキムービー》が突如描くヘンテコな日本趣味に、なかなか付いて行けなかった人から見たのなら、意外とスンナリと観られる作品かと思います。
所謂、映像作家として〝 こなれている感 〟を強く感じるミカの作品…と、揶揄するであろうアキ好きの声。
それゆえに、趣味全開で描くアキ好きのフアンから見ると、【クセ】の無い物足りなさを感じる《カウリスマキムービー》フアンは多いだろう…と。
そんなアキ好きの多い日本人からしてみると。当然アキ映画ではないので、お馴染みの〝 国境の越境 〟で有り、人種の差別感から生まれる〝 暴力 〟等の表現もそれ程なく。オリエンタル趣味全開な音楽も特にはない。
残念だったのは、主演の男女2人の恋愛模様に多くの描写を割いていただけに。チャンの子供側から見た描写が少し弱いところでしょうか。
近所に住んでいる子供達との関係性は中途半端なまま終わってしまうし。
映画の中盤では、子供がトナカイに引き寄せられる様に、森の中を徘徊する場面がありました。
『身も心も』や『ボーダー 二つの世界』でも重要な意味合いで登場するトナカイ。
古くから北欧社会でトナカイは、【悪魔の化身】としての象徴的な意味を持っています。
それだけに、子供を巡るミステリーな内容を期待して、、、期待して、、、あ?そう言えば!これはまごう事なきの《カウリスマキムービー》でしたね(´-`).。oO
そりゃ〜同じDNAが入っているのだから結果的には【ほのぼのムービー】になるのは致し方ないか〜(u_u)
2021年2月27日 シネクイント/シアター1