ぽち

世界で一番しあわせな食堂のぽちのレビュー・感想・評価

世界で一番しあわせな食堂(2019年製作の映画)
1.3
想像以上につまらない。

というか、定番というのも恥ずかしいぐらいの平凡なストーリーと、ファンタジーに片足を突っ込んでいるようなご都合主義の設定で呆れてしまう。

後半盛り上がるはずのロマンスパートはベタ過ぎて笑いが出る。わずかにフィンランドのきれいな風景は見所ではある。

それにしても、確かに食べ物で健康になるのはわかるのだが、薬と違いその効果が出るにはそれなりの時間がかかるはず。一回食べて治りました的な描き方があまりにリアリティがない。

薬は毒にもなる。きちんとした診断なしで「この料理が効く」と決めつけていく過程は、あまりにファンタジー。
間違えたらどうするの?とハラハラしたのは私だけか?

「何々にはこれを食べれば効く」ってのは所詮民間療法であり、危険も伴うことを知っているべきだろう。

中国料理がおいしいのはわかる。
でも週一なら「美味しい」ですむが、毎日食べに行くレストランが中国料理店になり、朝昼晩と三食だとどうなの?
自分に置き換えてみればすぐ分かる。白飯とみそ汁だろ。
生まれ育った土地の料理にはかなわない。

せめて「フォントロン」絡みの謎がもっと意外な展開になればよかったのだが、あっさり見つかるし、落ちもビザが切れそうで別れが…と盛り上げたのに、単に中国行きましたってのは不発もいいところ。

退屈な内容なので眠い時には観ないほうが良い作品。あ、でも睡眠薬代わりにはなりそう。


余談。
劇中でも「いきなり来ておいしい料理をふるまい、すぐに去ってしまう」とヒロインが怒っていたのだが、今作での設定ちょっといじるとクライム物になることに気づいた。

中国人の麻薬密売人がフィンランドの田舎にフォントロンに復讐するために来る。さびれたバーで騒ぎが起こり、持っていたヘロインを分けてやる。
村人は薬物の楽しさを覚え、末期がんの患者は痛みを忘れ、感謝される。仇はすでに死んでいることが判明。帰ろうとするが皆に引き留められる。
最終的にヘロイン製造法を村人に教え、女と中国に逃げる。

この方が盛り上がりそうだぞ。
ぽち

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