Cisaraghi

世界で一番しあわせな食堂のCisaraghiのネタバレレビュー・内容・結末

世界で一番しあわせな食堂(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

元の題名は、フィンランド語で『マスター・チェン』。上海からフィンランドの片田舎にやって来た料理のヴィルトゥオーゾ、チェンさん。男性版『バベットの晩餐会』と評されているフォロワーさんがいらして、まさにそれな!と膝を打った。

マスターが魔法使いのように無から生み出す料理の数々は、北の果てフィンランドの地に、突如中華文明が姿を現したかのようで圧倒された。中華文明はまずガッシリと胃の腑を掴み、そこから五臓六腑に作用するらしい。最初はパッとしなかったチェンさんが、だんだんと男前に見えてくるはずである。ヴィルトゥオーゾ、秘かに身体は鍛えていらっしゃったようだが。マスターチェンと素朴なシルカの対比は、圧倒的な中華文明とこちらも圧倒的な、原初の美しさを留めるフィンランドの自然との対比でもあって、まさにそのマリアージュのような映画だった。最後の中国での映像でちょっと現実に戻されたような気がしてしまうのは、東アジア人だからかも。

息子のニャニョ君、あざといところが全くなくて、子供を使った映画としては珍しいくらい。フィンランドで伸び々々育って欲しいなあと思う。

でも、シルカのポテトもきっと美味しいと思うんだよな。ワンピのプリント柄がどれも北欧らしく明るく鮮やかで、シルカによく似合っていた。
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