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TOVE/トーベのpepoのレビュー・感想・評価

TOVE/トーベ(2020年製作の映画)
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パンフレットによるとスクルットとは、「途方に暮れている小さな生きもの」の総称らしい。(※キャラクターとしても描かれています)
「どこにいても居心地が悪く、外部または周辺にとどまっていて、小さくて、ぱっとしなくて、汽車をこわがる」。
誰のために描くのか?と問われて「スクルットのために」と答えたというトーべ・ヤンソン。
この映画は、彼女がまだ心にスクルットの名残りを曳いていた頃から新しい旅立ちを誘う風に顔を上げるまでの時期を切り取って描いたものだ。
「自由」が携えてくる孤独や肌寒さに対して、怖れを感じても震えて縮こまり立ち止まってしまわないための勇気は、大人の心が「自由」であろうとするならなくてはならない必需品だ。観たあとにその不可欠要素の自分内総量がちょっとだけ増えている、そういう作品だった。
好きなものを好きだと言う、やりたい事を我慢しないですべてやる。それらがなぜ到底不可能に思えるほど困難なのか、いつもいつも自問しながら暮らしているスクルットな仲間たちにはとくにおすすめ。
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