のん

キャラクターののんのレビュー・感想・評価

キャラクター(2021年製作の映画)
3.7
浦沢直樹のいない浦沢漫画

試写会にて。

長崎尚志が10年の歳月を費やしたというオリジナルのプロットは、確かに練り上げられてはいるが、悲しいことにこの作品のテーマでもある「キャラクター」があまりに弱い。


それはさながら浦沢直樹の不在を象徴しているかのようで、漫画の場合は浦沢と長崎の共同作業による相乗効果が単独だと丸々削がれている気がしてならない。


なかなかに攻めた殺人現場のビジュアルや、音楽のセンスも悪くはないのだが、突き抜けた面白さを感じられないのはやはり登場人物の描写の弱さだろうと思う。


菅田将暉も高畑充希も小栗旬も本来はもっと高いポテンシャルを秘めているはずだが、どこか窮屈な印象を受けた。


例外は殺人鬼を演じたセカオワのFukaseで、演技がうまいとか下手とかそういう類の言葉を超越したヌルッとした存在感は唯一無二だろうと思う。


主人公と殺人鬼の表裏一体の関係はわたしには浦沢直樹と長崎尚志そのままの関係に思えた。これは長崎尚志から浦沢直樹への挑戦状ではないのか。そう考えるとしっくりくるものがあった。