ノラネコの呑んで観るシネマ

キャラクターのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

キャラクター(2021年製作の映画)
3.8
強いキャラを作れない漫画家の菅田将暉が、殺人現場を目撃してしまい、犯人をモデルに漫画を描いたら大ヒット。
ところがある時から、漫画のストーリーを犯人が模倣するようになる。
本作の白眉は、タイトル通りセカオワのフカセが怪演する名無しの犯人で、とにかく気持ち悪く禍々しい。
彼の出生の秘密や漫画という題材はいかにも長崎尚志らしく、展開はサスペンスフルで面白かったのだが、残念なのはディテールの雑さ。
そんな都合よく漫画と同じシチュエーションで四人家族見つかる訳ないとか、肝心のところでなぜ警察と別行動するとか、突っ込みどころ満載。
キャラクターで持ってる物語は、話が雑になりがちなのは映画も漫画も同じなんだな。
対立構図が最初から「虚構VS現実」なんで、どちらが主導権を握るかが軸で、話の落とし所としてこれしかないと思う。
しかし、観てる途中で整合性が気になってしまうのはやはりマイナスだ。
現状でもなかなか楽しませてくれるが、もうちょいスマートに騙してくれたら、傑作になったかも知れない。
あとキャストが非常に濃いのだけど、小栗旬のキャラが主人公や犯人に負けず劣らず強くて、途中菅田将暉の影が薄くなってしまう。
キャラクターを生かすとは、難しいものなり。