さよこ

キャラクターのさよこのレビュー・感想・評価

キャラクター(2021年製作の映画)
4.0
【掴めそうで、掴めない曲がりくねった展開が良い】

いやー、怖かった…!
園子温映画とかバリバリ観るのに、キャラクターはワンシーンだけ目を反らしちゃいました。

■豪華キャスト
Fukaseさんは今回の映画出演のために1年間の演技レッスンを受けて挑んだそう。癖のある仕草も、掴みどころのない喋り方も、サイコパスな役にはちょうどハマっていたのではないでしょうか。なんせ周りを固めるのが菅田将暉や小栗旬という錚々たるキャストなので、多少浮いてるくらいが役どころ的には合ってるかなと。良い意味で寄生獣のときの東出さん的なあれというか、、いやほんとに良い意味ですよ!!!

個人的には小栗旬の「まーきの!」の角度が随所にでてきたのがツボでした。さすが本家本元、身体のねじり方と眼力がすごい(分かる人だけ分かってもらえたら。モノマネ芸人のそれです)


■散りばめられた伏線
話が進むごとに謎が明らかになるどころか、中盤以降も逆に謎が深まる展開は秀逸。犯人かと思われたあいつは○○だったり、主人公の家庭は○○と○○は○○な関係であったり。映画を見ていれば、たしかに伏線には気付くけど、実家の''あの感じ''は、役者さんたちの演技力がないと伏線として成り立たないから、そういう多くを言葉で語らないギリギリの演出がこの映画の魅力だと感じた。あのシーン、主人公はきっと初めて「お○○さん」と呼んだんだろうなぁ。

伏線のなかでも特に小道具の使い方の上手さは異常(褒めてます)で、まさかあのスケッチがのちに○○のヒントになったり、居酒屋で使ったペン○○に使われて○○に繋がるとか、名刺はおまえが持ってたんかい!とか。何気なく使ってる小道具が、のちに点と点になって大きな鍵となるのは観ててわくわくした。いやー、凄い。

あと臨場感あふれるドラムの利いた音楽もいい。足音と効果音が入り混じった挙げ句に音楽になるってなにそのスゴ技。


■江野スミ先生
劇中の漫画は『亜獣譚』を描いた江野スミ先生が担当。江野ファンとしてあの数々の漫画、ぜひ単行本化して欲しい。オフィシャルブックに掲載してない原稿もたくさんあったし劇中だけで終わらせるのはもったいないよ…劇中漫画『34』も書籍化希望だよ、頼むよ、、、

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それにしても終盤に出てきたコミュニティが気になりますね。あの設定とその生い立ちで映画もう一本作れそう。ぜひ主人公とは違う目線でスピンオフを作って欲しいです。

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余談ですが最後のエンドロールみたら、Fukaseさん専属のヘアメイクがいたっぽくてサイコパス役だからなのか、アーティストだからなのかとても知りたくなりましたw

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ラストの主人公の大作戦が急にうーーーんな感じに思えたので星1つ減らして4にしました!
さよこ

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