負け続けながらも、ボクシングへの愛に囚われ続ける者。
自らの命を削りながら、頂点に立とうとする者。
誰かを見返したいという思いから、次第に本気になっていく者。
戦う理由がどうあれ、リングの上では皆が平等。倒れても起き上がり続け、相手を撃ち倒した者が勝つ。才能が努力を打ち負かすことだってある。
だが、リングを降りても彼らの闘志は消えない。一度魅入られた者は、きっと死ぬまで戦い続ける。それは呪いか。それとも道標か。
ボクシング初心者である楢崎の視点から、日々どのような練習が行われているのか、どうすれば上達していくのかというボクシングの細部についての描写が描かれることで、それが彼らの成長と才能についてのドラマを際立たせている。
いわば、スポーツの描写そのものがドラマとして積み重なっていく“純粋スポーツ映画”であり、この映画自体のストイックさが、描かれる彼らの生き様と重なって見えてくる。
そこに、雑誌広告のシーンを例とした𠮷田恵輔らしい気まずさ全開のユーモアが組み合わさることで、ストイックだがシリアスになり過ぎない、という非常に爽やかな印象を残す作品だった。
𠮷田恵輔、監督・脚本に加えて殺陣の指導もやってるのか。もしかしてボクシング経験者だったりするのかな?