やすやす

BLUE/ブルーのやすやすのレビュー・感想・評価

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)
4.8
ああ、いい映画だった。これは間違いなく心に
残る作品だ。
ボクシングという魔物に取り憑かれた3人の男。
その熱い思いが深く胸に染み渡り静かな感動を
覚えた。
主人公一人だけにフォーカスしない3人とも主
役の様な描き方が作品に深みを増していたと思
う。性格は三者三様、それぞれ個性的だがその
3人が三位一体になり紡いだ物語。とても引き
込まれた。

うん、努力だけではどうにもならない持って生
まれたセンスって絶対ある。
自身もそのことを自覚しながらも認めたく無い、
いつか勝ってやるという強い反発心をバネにし
て闘い続ける。
私にはその気力が無いので闘い続ける姿に触れ
ると尊敬の念さえ抱く。
でも勝負の世界って、特にボクシングって残酷
ですね。勝つか負けるか、倒すか倒されるか二
つに一つしかない。負けたけどよく頑張ったな
どという言葉は気休めに過ぎない。
だからこそただひたすら勝利を目指し腕を磨く。
もし挑戦することをやめたら自分が自分で無く
なる様な喪失感に襲われるだろう。それが分か
っているからどんなにボロボロになっても足を
止めることが出来ず歩き続けてしまう。
一途なその姿は心を打つし涙も誘う。だけどい
つか必ず限界は来る。第二の人生だってリング
に負けないくらい壮絶で立派な闘いに挑む戦士
そのものだ。

名選手必ずしも名監督にあらずの言葉がある。
ならば逆パターンもまた真なりだ。
これからどの様な道を歩んで行くのか分からな
いがあなたはきっといい指導者になれる素質が
あると思う。いや、なって欲しい。
ラストシーンを見てそう願わずにいられなかっ
た。
やすやす

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