デニロ

海辺の金魚のデニロのレビュー・感想・評価

海辺の金魚(2021年製作の映画)
3.5
少女が波打ち際で慟哭。冒頭から核心に入っていく。フィルムノワールの如く削ぎ取る。

劇中の夏祭りカキ氷殺人事件はどうしたものかと思うし、すぐに慌てふためく芹澤興人を見ながら養護施設の園長を任せられないと思ったり、流し素麺を撮りたかったのか仄かな思いを撮りたかったのか性格のはっきりしない福崎那由他は途中で消えていくし、ヒロイン小川未祐の母親役山田キヌヲは強烈だけれど作劇はフィルムノワールの悪しき伝統を踏襲して陳腐だ。

題名のラストシーン。淡水魚を海水に解き放つ。無論長く生きられないだろう。母親と金魚に纏わる記憶からわたしは母殺しを想起する。母親に死んでもらい自らを解放し生きていく。彼女の慟哭。こころが張り裂けたのだ。

脚本、監督は小川紗良。
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