ユーリカ

SLEEP マックス・リヒターからの招待状のユーリカのレビュー・感想・評価

3.7
月末が有効期限の劇場チケットを片手に、何か面白い作品あるかな?と映画館のWebサイトをブラウズしていて目に留まったのがこの作品。テーマは睡眠、しかも上映中に寝てよいという。
映画館で「睡眠」というと、「あの映画観に行ったんだけどさ……」という若干の気まずさ(あるいは開き直り)と共に語られるものだと思っていたので斬新だった。

内容は、8時間に及ぶ音楽作品「Sleep」のコンサートという斬新なプロジェクトを追いつつ、作曲家マックス・リヒターの作曲活動や家族とのつながりを振り返るもの。映画ファンとしては、マックス・リヒターは「メッセージ」をはじめ数々の傑作サウンドトラックの印象が強いが、この映画では、彼が映画音楽の枠を超えた芸術家であり、また生粋の表現者であることを知ることとなった。

映画公式サイトのホームページには「劇場でしか味わえない極上体験」というキャッチコピーが掲げられていたが本当にその通りだと思う。映画館のふかふかのシートに深く腰かけて、自宅では到底叶わない音響設備のもとで、心地よい音楽(計算し尽くされている)に身を委ねながらうとうとする体験が、幸せでないはずがない。ぜひ一人でも多くの人に、この体験を味わってほしい。
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