柊

明日の食卓の柊のレビュー・感想・評価

明日の食卓(2021年製作の映画)
3.9
図らずもユウ君はみんな男子。
でもユウなら1人くらい女子がいても成立していた話だと思う。
どちらの性でも子どもを育てることの愛しさとしんどさは紙一重。誰もが多かれ少なかれやりきれぬ思いを持つ事は決して恥ずかしいことではないと思う。一生懸命育てているが故に陥るこんなはずじゃなかった感。じゃあどうすれば良かったのか?やっぱり子育てに正解はない。ほんと悩むよね。みんなおんなじって言われてもそこにあんまり救いは無い。おんなじって言われても問題は解決するわけじゃ無いからね。しんどさが増さった時に、本当はあるはずの愛情も見えなくなってしまう。うんうんと言いながら観ている人多いんじゃいかな。
だから綺麗事並べた芸能人の子育てブログがとても嘘っぽく見える。まぁ読んでいる人は薄々そんな事承知なのかもしれないけどね。インスタで幸せアピールする人ほど闇が深いのと同じだね。

でもここに出てくる3人の母親は少なくとも子どもへの愛情は十分に持っているのが救いと言えば救い。そして愛情を見失わなかった終わり方に少し安堵するけど、そこは現実的に考えると、それで良いのかとも思えてくる。そんな都合良くはいかんだろう…とかね。子ども達の闇も深そうだったから…特にサイコパスと言われてカッコいいと言わせられてしまった子なんて特にね。まぁそこは2時間くらいの作品だから仕方がないか。

むしろ父親である夫やシンママに関わる弟などこれでもかって言うくらいクズ揃い。世の男性はこれが全てとはもちろん思わないが、最近多いな。どうしようもない男。これでは結婚も恐いし、子どもだって産み育てることに不安しかないないよね〜。産んだってそこから育てるって今の世の中はとても大変。何だか生まれてから死ぬまで人生はしんどいの連続だよ。
せめてこれを観た男性諸君は反面教師で俺はこうはならないって発奮して欲しい。加えて女性もこんな酷い男ばかりでは無いと希望は持って欲しい。

3人の女優さん達はそれぞれどんどんしんどくなっていく役で追い詰められ大変だったろうなって思う。特に実際に二児をを育てている菅野美穂は役でもプライベートでも心休まる事がなかったのでは無いかと思う。それくらい子どもは忖度などしないし、よく撮り切ったと思う。ゆっくり休んで欲しい。
オノマチは「茜色に〜」でもなかなかハードな母親役の連続でお疲れ様。でも良いとこの奥さんはあんまり似合わない。笑
高畑充希ちゃんいつのまにか母親役もいけるようになったんだね。
みんな良かったです。大島優子は短時間ながら美味しい役ですな。そして一番すごいなぁと思ったのは烏丸せつこ。うまい! 教誨師の時の死刑囚の役も凄かったけど、その時に勝るとも劣らぬ存在感。でもきっと彼女も底辺で男に苦労させられながら生きてきたんだろう。お金も教養もない女の精一杯の母としての不甲斐なさ、すまなさが差し出された通帳に詰まっていたように思う。
デリヘルで子どもを育てている山田真歩もいいですねぇ。
脇がしっかりしてるから主役が生きる。
柊