真田ピロシキ

Mr.ノーバディの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)
1.0
ナーメテーターとかいうのを異世界転生なろう系と何ら変わらない幼稚なご都合主義願望が込められたハリウッドの底辺ジャンルとして忌み嫌っているのだけど、ソウル・グッドマンことオデンさんが主演で尺も90分程度なので見てみた。

いけ好かない『96時間』や『イコライザー』みたく、本当は自分の力を誇示したい気持ちの悪いジジイがか弱い女のためという上から目線の大義名分を経て暴力に訴える話だろうと思っていたが、最初の強盗では自制してて血の気の多い息子や「自分だったら」とこぼすアホ警官よりはこのオッサンの良識に安心できる。実は弾が入っていないが銃を持った相手であり、自分が恥をかいても変に力で解決して息子がその後蛮勇に走るようにしないのは立派な心がけ。しかしそれもすぐ終了。娘の猫ちゃんブレスレットがなくなったと知って取り返しに行く親父。それで帰りのバスに乗り込んだチンピラから女性を助けようとして戦い、その身内がロシアンマフィアで激闘に発展していくという流れは結局この安っぽいジャンルのお約束。発端が猫ブレスレットて。やっぱりコイツも本当は暴力を振るいたくてたまらない様子。謎の電話でも楽しげに暴力を話してたし、隣人の車はハッピーに盗んでいくぜ!そもそもこの猫ちゃんブレスレットが実は家の中に落ちてたというオチで、偶然女性の危機を救ったのは立派だが自分から火種に飛び込んでるアホなんだよ。何なのこのバカ脚本。

それで組織を敵に回して家族を危険に晒して、でも家族は愛してる俺アピールする。何て薄っぺらい奴。なお、この頃には体裁を保ちすらしなくなって、元々買おうとしていた勤務先を戦場にするため金塊出して手に入れようとしてて社長の息子には反対されるのだが拳で説得!組織との戦いでは老人ホームの父親も実は歴戦の強者で参戦して、バカ息子同様暴力に酔いしれる。重ね重ね言うが薄っぺらすぎるキャラクター。こういう力に物を言わせようとする価値観こそ有害な男らしさだろ。それが凝縮された90分。クソマッチョ万歳!プーチンとトランプを崇めよ!この映画を撮った連中は『クライマッチョ』でも見とけや。そして家族は全てが終わったあと戻ってきてくれました。オデンさんが主役なら当然『ブレイキングバッド』はチェックしてるはずだと思うのだが、悪事が家族に露見したウォルターがどんな反応をされたのか見てないんすかねーあーくっだらねえ。

あーとさ、敵はファンタジーRPGにおけるゴブリンくらいこの手の映画のお約束でロシアンマフィアなのはまたかと。今の御時世ならますますハリウッドのサンドバッグに出来て良かったね。ジョン・マクレーンもシリーズ1番の駄作で何の非もないロシア人のタクシードライバーをぶん殴っていたからね。ロシアンヘイトに無自覚的なハリウッドさんご立派ですねー酷い映画で心底自分はこのジャンルを嫌いなのだと再確認した。ただ一応苦戦しているだけ『イコライザー』よりはマシです。