牛猫

独裁者とクリスマスプレゼントの牛猫のレビュー・感想・評価

3.0
社会主義体制下のルーマニアで、父親のために幼い子どもが出した一通の手紙を巡る一夜の騒動を描いた話。

ルーマニアがつい最近まで社会主義国家とは知らなかったし、ルーマニア革命という出来事も初耳だった。10日間ほどクーデターが続いてクリスマスに政権が打倒されるとは、なんともドラマチックだ。

前半は強面の父親と純真無垢な子どものやりとりが可愛いくて微笑ましいと思いながら観ていたけど、問題となる手紙の内容がヘビーすぎて雰囲気がガラッと変わった。怒鳴るのは良くないけど、下手したら命に関わることだからあそこまで取り乱すのも無理はない。第二次世界対戦下のドイツやソ連でヒトラーやスターリンを批判するようなものだと考えると洒落にならないヤバさが伝わってくる。

途中訪ねてくるご近所さんやかかってくる電話にハラハラしたけど、最後は呆気なかった。
コミカルな音楽に乗せて実際の映像で締め括るラストに監督の遊び心が表れている。

国や情勢に関係なく言いたいことを気ままに言える、健全な世の中になってほしいと思った。
牛猫

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