さいごん

映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園のさいごんのレビュー・感想・評価

4.5
評判が良さそうなのでユメミーワールド以来かな?の視聴。
なるほど、こりゃちょっと凄い領域行ってるなってのが素直な感想。

とりあえず中盤はしっかりとミステリー仕立てになっていて大人でもそれなりに楽しめる。
でも何が凄いってそんなミステリーがどうこうよりも笑いと感動の調整の仕方が凄い。

特にクライマックスが盛り上がっていくにつれて映像や感動がドライブしていくのだが、同時にギャグもキレキレになっていく。

で、これの何が凄いか説明するには今までのクレヨンしんちゃん映画と比較が必要になるので僕なりの見方を書いていきます。

まず、クレヨンしんちゃん映画が真面目に評価されるきっかけになったのはやはりオトナ帝国と戦国大合戦で「大人でも泣ける」もしくは「大人こそ泣ける」と評判だった。
ただ、この2作は僕は割と危ういバランスで成り立っているとも思っている。
というのも子供達の冒険譚であると同時に、物語としてはしんちゃんという無垢な価値観の子供に影響を受ける「大人側の話」という面が異常に強いと思う。
逆に言えばこのギリギリまで大人側に寄せた事で名作になっているわけでもあるんだけど。

その後のクレしん映画については半分くらいしか見てないけれど、僕が見た限りでは子供側の子供向けの話に戻そうとしていたと思う。
ただ、難しいのはやっぱり一度ついた「クレヨンしんちゃん映画は感動出来る」という評価との向き合い方だっただろうなぁというのは想像に難くないし、実際にかなり試行錯誤していたと思う。

そういう意味で僕はユメミーワールドは良い映画だと思っていて、詳しくはレビューを書いたけれど簡潔に言えば子供の時に見ても楽しめるけど大人になって見返した時に違う一面に気付き楽しめるという良いバランスになっていたと思う。


さて、いい加減にこの映画の話に戻そう。
じゃあこの映画はどうかと言えば前述の試行錯誤が実ってクレヨンしんちゃん映画としての方向性がかなり完成に近いんじゃないかと感じた。
まずは頭からケツまでギャグ満載で子供向けの映画としてしっかり成立しているところ。
そしてそのギャグこそが感動に繋がっているところ。
また、その感動というのがオトナ帝国のような「大人が感動する」というより「子供に対しての至極正しいメッセージで感動する」というアップデートされた感動を味わえる。
んで本当にこの辺のバランスの取り方が凄い。

現に隣で見ていた嫁さんはラストシーンでケタケタ笑っていて、僕は涙ぐんでいた。
「笑って泣ける」ってよくあるキャッシュフレーズだけど、同じシーンの中でそれがここまで両立しているのってなかなかないんじゃないかな。
簡単に僕らは笑いと感動の両立とか言ってしまうけど、実際に成り立たせるのはとてつもない事だと思うし本当にこの映画とそれまでの積み重ねに素直に拍手をおくりたい。

いやはや、これは今までの見逃していた作品も見ておかねばならないし今後も見逃さないようにしなくては。。。
クレしん映画を見たあとは毎回心の中で「舐めててすんませんでした」と謝ってる気がする。
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