てんさん

ハウス・オブ・グッチのてんさんのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
3.5
最初は愛だけあれば充分だったんです。
愛を得るために、地位も権力もお金も捨ててきました。

でも地位と権力とお金が降ってきました。
求めていなかったのに、向こうからやってきたんです。偶然。
地位と権力とお金に固執する妻を鬱陶しく感じていました。
やっぱりこの時も、愛だけあれば充分だったんです。

偶然降ってきた地位と権力とお金が、段々と没落していくのを感じました。
もともと必要としていなかったはずなのに、どうやったら維持できるか必死で考えるようになりました。
次第に、愛も地位も権力もお金も欲しくなっていました。

自分の地位と権力とお金を脅かしているのは、妻だと考えるようになりました。
確かに、この時妻は少しおかしくなっていたかもしれません。
自分で伝えることはしませんでした。
地位と権力とお金を守るために、愛を捨てることにしました。

地位と権力とお金を手中に収めたので、更なる地位と権力とお金が欲しくなりました。
今まで自分を助けてくれた人すべてを裏切りました。
官能的な美貌にも目が眩みました。
地位と権力とお金と欲望を満たして、この世界は自分の意のままにできると思うようになりました。

すべての報いが返ってきました。
すべてを奪われ、失いました。
地面に這いつくばりながら、自分に残っているものを考えてみました。
残っていたのは、かつて愛した人から向けられた、憎しみだけでした。

回避する方法はあったんでしょうか。
どこかで違う選択をしていたら、この結末にはならなかったのでしょうか。
自分は回避する方法はなかったと思います。

結婚についての父親からの忠告を聞かなかったあの瞬間以降に、回避する方法はなかったように思います。
でもなぜ父親の忠告を聞かなかったかというと、望む人との愛を得るためでした。
つまり、回避する方法はなかったと思うわけです。