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ハウス・オブ・グッチのCOLORofCINEMAのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
4.2
●「私はグッチ夫人よ」
何よりも名前に固執するあたり、それこそがブランド信仰。
あくまでも、その名前にこだわる。
打算丸見えのパトリツィアを演じるレディ・ガガ。
身の丈以上に振る舞う態度や言動。(それが何か?といった嫌味さを覗かせながらのエスタブリッシュメントたちもいやらしいですが..)
対して、父親や一族の環境が嫌でたまらず弁護士の道を選んでいたマウリッツィオ(アダム・ドライバー)。相続をきっぱり断ってパトリツィアの父親のトラック会社で勤めるあたりの純朴な部分から、最初はそそのかせられつつだが、やはり「血は血」とばかりに放蕩と傲慢さを覗かせていく後半。

●ジェレミー・アイアンズ演じるロドルフォ・グッチが古城の亡霊っぽくてよかったなぁ。
あとモール出店の話で御殿場とか名前が出てきたけど年代的にあんなに早かったの?ニューヨーク本店でアルド・グッチ(アル・パシーノ)に会えたと喜ぶバブル期の日本人の姿とかのシーンもあった。

●メインキャスト5人以外だと、トム・フォードとタッグを組んでGUCCIを復活させることになるドメニコ・デ・ソーレを演じたジャック・ヒューストン(祖父が映画監督のジョン・ヒューストン)もよかったなぁ。あと必ず、この手の話には出てくる占い師ピーナのサルマ・ハエックとか。
●GUCCIの法律顧問として関わり始め、のちにトム・フォード・インターナショナルの会長となるドメニコ・デ・ソーレ(ジャック・ヒューストンが演じている)がアルドの誕生日にファミリーが集まった部屋に既にいることが隠されている、もうひとつの軸。
そのことを踏まえて2回目を鑑賞するといろいろ見えてきて怖い。(どのシーンにいるのか。その視線の方向)
映画的にはおそらく『ゴッドファーザー』におけるトム・ヘイゲンのようなポジション。(最も経営的資質があったことを目立たないように忍ばせた)リドリー・スコット監督、恐るべし。

●撮影日数、43日間。すごい.. リドリー・スコット監督の絵コンテありきの速さ。そして、以前も書いたけれど撮影のダリウス・ウォルスキーとの息も合っているのだろう。あと編集のクレア・シンプソンとも。
●色名が直接出てきたので思い出した『ハウス・オブ・グッチ』はバーガンディ(Burgundy)で『プラダを着た悪魔』はセルリアンブルー(Cerulean blue)
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