MidoriK

ハウス・オブ・グッチのMidoriKのネタバレレビュー・内容・結末

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

終始テンションは低め、色調・ストーリーは重め、単調なのにずっと観ちゃうのはリドリー・スコットのなせる技だと思います。

ガガの演技が良かった。衣装もどれも似合ってる。
タバコを吸う仕草や歩き方、目で感情を表現するのが良くできていたと思います。
※ガガの歩き方は衣装さんと打ち合わせた作戦があったようでパンフレットに詳細が書いてありました。読むと確かに!と思います。

アダムドレイパー!めっちゃかっこいい。長身にスーツが似合う。色気が…。
ガガを包む大きな手に萌えました。身長差とてもいい。
アルパチーノのダメダメアルドおじさんの演技は年の功。
おバカなパオロとのコンビがなんだかんだ良かったです。
「それでも俺の馬鹿な息子だ」は血の繋がりを大事にするアルドらしい。

物語としては、ガガ(パトリツィア)に若干同情してしまう。
段々アダム(マウリツィオ)にイライラしてくる。

パトリツィアのあの引き寄せ力や行動力、向上心はマウリツィオにはないもの。
マウリツィオが本当にGucci家と関わりたくないと思っていたようには見えず、なんだかんだ恵まれた生活に甘えていたようにしか思えず、環境が整った(自分が自由にやれると踏んだ)瞬間にパトリツィアを拒否したように見えました。

でも結局経営の才覚が無く(弁護士に向いてるとも思えない)、最終的にはアルドと同じ道を辿ることに。
トムフォードのショーが終わった後の食事のシーンは印象的でした。
あそこで出された肉が、かつて創業時にお世話になっていた渓谷の牛だったことも皮肉でした。
※インベストコープの人間は知らなかったけど、ドメニコは知っていたように思える。

ていうかドメニコがいなければもっと酷くなっていましたよね。
ムカつく食えない奴と思って見てたけど、その後の仕事ぶりを見ているとグッチブランドを残したくて彼は彼なりに動いたのではと思いました。
経営スタイルが全然違えどパトリツィアと上手くやれたら良かった。

パトリツィアが偽物を取り締まろうと意見するシーンがありましたが、アルドの発言を聞くに、「Gucci家の血が流れていないこと、男でないこと」が最初から彼女を対等に見ていない理由なんだろうなと思いました。
ちゃんと彼女の話を聞いてたらちょっとは違っていたのかもしれない。
やり方はどうあれリスクの高い人間(アルド親子)を経営から外すという考え方も分からなくはない。

ちょっと思ったのはパオロは本当にダメ人間だったんだろうか。
デザインがGucciっぽくないだけでさっさと独立してみればよかったのに。
皆からの馬鹿発言、駐車位置も覚えてないなどを見るに何かしら問題があったように見えるし、あまり経営者タイプには見えない。
彼は彼で「Gucci家の血が流れていること、男であること」が邪魔をしてたんじゃないかなと思います。
どこか気の毒に見えてしまうところもジャレット・レトの演技力ですね

最終的にどうしようもない展開に行ってしまいますが、マウリツィオとパトリツィアがちゃんと話し合っていれば、パトリツィアがちゃんと彼を愛している一面を持ち合わせていることを彼が理解していれば、また違ったのではと思います。
なんだかんだパトリツィアも愛を過剰に信じる人でしたね。マウリツィオの事を許せなくなっていったのは何となくわかります。


マウリツィオがカフェで笑ったのは何だったんだろう。自分の阿保さを笑ったのか、彼女に従っておけばと思ったのか…。
パトリツィアも家に戻ってきて部屋に入る時に笑ってた気がします。

ただ実際は物語よりも色々酷かったかもしれないなと思って見ていた(笑)
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