グッチブランドを手に入れるべく創業家の子息に近づき結婚を果たした主人公が創業者を追い出し経営に関与しようと目論むも、夫との関係が上手くいかずに別居。グッチ家の裏切りや愛憎が絡み、一族からファンドに経営権が移るまでを描いた実話。個人事業からスタートした会社は規模が大きくなるにつれ身内や側近から内紛が起こり、会社の身売りやクーデターで創業者が退陣に追い込まれるケースは多い。事業の成功と共に経営者も有頂天になり、傲慢な態度で取引先や従業員から恨みをかったりする例も後を絶たない。人間がいかに欲望や誘惑に弱く、自分を律するのが難しいかをリアルに描いているところがすごい。ハゲタカがカネの匂いを嗅ぎつけ、内紛に乗じて利得を得るタイミングの良さには驚くばかり。日本人もグッチブランドを買ってカモにされるのではなく、グッチの株式を握って世界のブランドを支配する位のしたたかさが欲しい。
